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院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

無痛分娩は安全なの?

2018年03月06日

無痛分娩を希望されている方で、『無痛分娩は受けたいけれども、大丈夫かしら』と心配されている方もいらっしゃるかと思います。
今回は皆様に安心して無痛分娩を受けていただけるように、無痛分娩の安全についてお話をしたいと思います。
最近の報告では無痛分娩は日本でも徐々に増えてきて現在全分娩の約6%は無痛分娩を受けていることがわかってきました。年々その割合は増してきています。無痛分娩の方法にもいろいろありますが、当院での麻酔方法は硬膜外無痛分娩となります。無痛分娩は医療行為であり、絶対に事故が起こらないとは言えません。しかし、無痛分娩を行わないほうが安全なのかというとそうとも言えないと考えています。無痛分娩を受けることによっても様々な恩恵を受けるからです。痛みがないことで不安がなくなる、心血管や呼吸器に負担がかからない出産ができる、緊急時の帝王切開にも対応ができることなどがその恩恵に当たります。
硬膜外無痛分娩で起こる事故の中で、生命を脅かす合併症は全脊椎麻酔と局所麻酔中毒です。全脊椎麻酔とは本来硬膜外という場所に入るべき局所麻酔薬が誤ってより神経に近い脊髄液中に注入されることで起こります。脊髄液中に薬剤が投与されると直ちにより強力に麻酔の効果があらわれ、通常以上に麻酔が広がる結果、身体全身に麻酔が効いてしまいます。局所麻酔中毒は局所麻酔薬が硬膜外でなく血管の中に注入されてしまうことで起こります。血管の中に注入されると全身に局所麻酔薬が流れ、意識低下や血圧低下など様々な症状が見られます。いずれも硬膜外に入るべき薬剤が髄液であったり、血管の中であったりと異なる場所に投与されることで起こってしまいます。硬膜外付近に脊髄液も血管があるために、このような合併症が起こることがあります。

我々が行う安全対策には以下のようなものがあります。

  1. カテーテルを脊髄液中や血管に入れない
    背中から針を刺してカテーテルを挿入する際に安全に、確実性の高い方法で挿入します。また医師も硬膜外麻酔に慣れた医師が行うことで、さらに安全性を高めます。安全の程度が少しでも下がるようでしたら無理にでも行うことはいたしません。
  2. カテーテルが脊髄液中や血管内に入ってしまってもすぐに気付くようにする
    カテーテル挿入後に適切な場所に挿入されているかの『ためし』の薬が投与されます。脊髄液中や血管内にカテーテルが入っている場合はこの時にわかります。『ためし』の薬の量でしたら、大きな副作用もありません。
  3. 確認を行う
    その後も医師や看護師からたびたび確認の質問を行ってまいります。無痛分娩を行っている間、我々は常に注意を払い、観察を行っています。
  4. もし異常事態が起こった場合、直ちに正しい治療を行う
    もし①、②、③を行っていたにもかかわらず、全脊椎麻酔や局所麻酔中毒が起こってしまった場合、直ちに治療を開始します。そのための訓練をスタッフは日常から学習、訓練をしています。早期に気づき、適切な治療が行われることで、危険な状態になる前に回復させることができます。

 
我々が行う無痛分娩は安全の上で成り立っています。安全が確保されたうえで安心できる無痛分娩を提供することが重要なことなので、もし安全が確保されない無痛分娩であれば行わないほうがいいでしょう。我々は日々無痛分娩について研鑽を重ね、安全で安心できる無痛分娩を受けていただけるように医療を行っております。

文責 院長
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