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院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

帝王切開の麻酔について

2020年02月08日

当院では経腟分娩以外に帝王切開も行われています。
帝王切開には予め帝王切開を行うことが分かっている予定帝王切開と、経腟分娩をしている最中に何らかの事情により緊急に帝王切開が必要になる時や、予定帝王切開だったが、予定よりも早くに陣痛が来てしまった場合などの緊急帝王切開があります。
今回は予定帝王切開についてお話をします。
予定帝王切開が行われる理由としましては、子宮手術(帝王切開など)後、逆子(骨盤位)などが主です。
予定帝王切開の麻酔は『脊髄くも膜下麻酔』と『硬膜外鎮痛(麻酔)』の2種類が行われます。前者は術中の鎮痛に、後者は術後の鎮痛に用います。 『脊髄くも膜下麻酔』は下半身麻酔などと世間では言われ、下腹部や脚、お尻の手術などで行われており、帝王切開での一般的な麻酔方法になります。脊髄くも膜下腔という硬膜外よりもさらに内側に針を挿入し、少量の麻酔薬を注入します。管(カテーテル)は挿入しません。『硬膜外麻酔』よりも神経に近いため、少量で強力な作用があり、手術など強い痛みがある麻酔には適しています。効果は2時間ほどで、触っている感覚は残りますが、痛み、温感などがなくなります。意識があるため、赤ちゃんが産まれる瞬間もわかりますし、産声も聞くことができます。当院ではお母さん、赤ちゃんが元気であれば抱っこすることもできます。
『硬膜外鎮痛』は無痛分娩で用いられるものと同じですが、カテーテルを挿入する場所が異なり、無痛分娩の時は腰の真ん中あたりですが、予定帝王切開では背中の真ん中あたりにカテーテルを挿入します。無痛分娩では広範囲に鎮痛薬を効かせる必要があり、帝王切開のときよりも下側(腰に近いところ)から挿入します。神経の近くの硬膜外腔という場所にカテーテルを挿入しておくことで、いつでも痛み止めを神経近くに投与することができ、お腹の痛みの信号が背中の神経に伝わるところで、信号をブロックします。硬膜外麻酔を術後に使うことは帝王切開に限ったことではなく、胸やお腹の手術や整形外科などでも幅広く使用され、安全に確実に痛みを取り除いてくれます。近年では硬膜外麻酔を帝王切開術後鎮痛に用いない施設も多くなってきました。しかしそれでは術後鎮痛には不十分と考えており、当院では『硬膜外鎮痛』を術後鎮痛に用いています。
術後鎮痛は『硬膜外鎮痛』以外にも内服薬があります。通常痛くなったら痛み止めを内服しますが、当院の場合は痛くなる前に定期的に内服を行います。こうすることで、痛くなってから内服するよりも早い段階で鎮痛が行うことができます。それでも痛い場合は座薬や点滴からの痛み止めを行います。
術後の痛みは離床、歩行を妨げます。離床が進まないと深部静脈血栓と言って足の静脈に血の塊(血栓)ができてしまうことがあり、この血栓が肺の血管に飛ぶ肺血栓塞栓症(飛行機などではエコノミークラス症候群やロングフライト症候群)になってしまうかもしれません。この合併症は重篤なものなので、予防する必要があります。また赤ちゃんを抱っこする機会が減ってしまうことのないように、十分に疼痛緩和が必要と感じています。
このように当院では帝王切開の痛みに関してもしっかり取り除くことに力を注いでおります。『硬膜外鎮痛』、内服薬など複数の方法や薬剤を用いた鎮痛をmultimodal analgesiaと呼び、痛みを減らす手段として重要視されており、帝王切開で出産される方々も術中のみならず術後も含めて快適に過ごしていただけるようにいたします。

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