災害時における液体ミルクの利点とリスクと不利点
2017年02月28日
あっという間に2月も終わりですね。
たまに暖かくなる日もあって、春が近づいてきているのを感じます。
先日25日、26日に京都で開かれた、第14回 IBCLCのための母乳育児カンファレンス(Annual Breastfeeding Conference for IBCLC:ABC)に参加してきました。
ABCとは、年に1度IBCLCだけが集まって、最新の母乳育児支援について学ぶ学習会です。
2日間京都にいたのですが、観光する間もないほど、母乳育児支援について学んできましたのでご報告します
今回は、「災害時における液体ミルクの利点とリスク・不利点」についてお話します
液体ミルク・・・みなさまご存知でしょうか?
日本では認可されていないので、知らない方も多いかもしれません。
海外では、自販機などでも売っていて、簡単に手に入るそうです。
人工乳を使用したことがある方は、なぜそんな便利なものが日本にないのだろう?と不思議に思うかもしれません。
日本では、2011年東日本大震災のとき、2016年熊本地震のときに、フィンランドから緊急輸入され使用されていました。
災害時は、粉ミルクを調乳するためには、きれいな水、水を沸かすための電気やガス、哺乳瓶や、乳首などを消毒するためのものなど、
物資が必要になります。
そんな時に、液体ミルクがあると、調乳するための支援が確立するまでの間は、健康上のリスクを最小限にできるかもしれないと考えられているようです。
災害時における液体ミルクの利点
◇製造過程で高温滅菌されており、70℃以上の湯での調乳が不要
(粉ミルクは、サカザキ菌の混入を防げないため70℃以上の湯での調乳が必要。また、粉ミルク以外の牛乳・イオン飲料水などは乳児には、
電解質濃度の異常をきたす危険性がある)
◇常温で保存可能な製品や、乳首がついている製品もあるので、開封してすぐに与えることができる
災害時における液体ミルクのリスクと不利点
◇液体ミルクは、粉ミルクよりも細菌が繁殖しやすく、攪拌が不十分な場合濃度の差が出る
(不適切かつ衛生的でない使用方法により乳幼児が重症の下痢を起こすかもしれない)
◇人工乳首付きでない場合、哺乳瓶、乳首の消毒が必要(物資がさらに必要)
◇人工乳首付きの場合、ゴミが増える
◇製造過程の高温滅菌で焦げるため、風味が粉ミルクより劣る
利点と不利点をしっかり知ったうえで、使用する必要があることを学びました。
参考文献
第14回 IOCLCのための母乳育児カンファレンス 資料集