ほとんどの方が、「母乳が出るなら母乳で育てたい!」と考えています。初めての方はお産もそうですが、その後の赤ちゃんとの生活も未知の世界ですよね。ですので、出るなら・・・とお考えになるのは普通のことなのかもしれません。
 
母乳がどのようにすれば出るのかを知っていると、お産後の生活を想像しやすくなりますし、せっかく母乳で育てようとお考えのみなさんが、赤ちゃんを母乳だけで育てられるようになると思います。
ですから、今日は母乳が出るようになるメカニズムについてお話ししていきます。
 
さて以下の①②③④は、妊婦さんによく聞かれる質問です。みなさんも一度はお考えになったことがあるのではないでしょうか?
 
①おっぱいが小さい人は母乳が出にくいって本当ですか?
②自分の母親は母乳が出にくかったと言っています。私もそうなりますか?
③赤ちゃんがとっても大きく生まれてきそうです。赤ちゃんが大きいと母乳だけで育てるのは難しいって本当ですか?
④上の子の時おっぱいが出なくて苦労したので、今回も母乳だけで育てることはできませんよね?
 
さて、実際はどうなんでしょうか・・・
 
 
 
 
 


答えは、全て「いいえ」です。
母乳がでるようになるのは、おっぱいの大きさも、遺伝も、赤ちゃんの大きさも全く関係ないのです。
④の前回の経過に関しては、逆に関係します。上のお子さんの時に母乳を少しでもあげた方は、初めてのお産の方よりも、より早くおっぱいが出始めると言われていますので、母乳育児のスタートが切りやすいということですね。
 
では、母乳が出るようになるにはどういうことが関係しているのでしょうか?
 
まずは、ホルモンの分泌です。
赤ちゃんが生まれた後に胎盤が役目を終えてでてきます。その瞬間に体のホルモンが切り替わり、プロラクチンというホルモンが出てくるようになります。プロラクチンがたくさん出れば出るほど、母乳をたくさん作るようになります。
では、プロラクチンはどのようにしたらたくさん出るようになるのでしょうか??
 
それは、赤ちゃんが生まれた直後からおっぱいを赤ちゃんに何度も吸ってもらうことです。ただそれだけなんです。
 
赤ちゃんがおっぱいを吸うことによって、その刺激が脳に伝わり、プロラクチンが出てきます。最低でも3時間に1回(1日8回以上)おっぱいを赤ちゃんに吸わせることが重要です。そして、プロラクチンは夜特にたくさん出てきます。ということは、夜授乳することは昼間授乳するよりも、たくさん母乳を出すことにつながるということです!
何らかの理由で、出産直後から赤ちゃんに直接吸ってもらえない時は、手でおっぱいを搾って刺激をしたり、電動搾乳器を使用して赤ちゃんの代わりに刺激をしています。
 
赤ちゃんがおっぱいを吸うと、母乳の出に関わるもう一つのホルモン、オキシトシンも出るようになります。オキシトシンは、別名:愛情ホルモンと言われています。
オキシトシンが出ることによって、たくさんおっぱいが出るようになったり、子宮を元に戻すように働いたり、ママはリラックスでき、赤ちゃんをかわいいと思う気持ちを促進させたりします。
逆に授乳中、痛みを感じたり、つらいと感じたりするとオキシトシンは分泌が抑えられてしまい母乳はあまりでなくなってしまいます。ですから、授乳をするときは、ママが本当に楽な姿勢でゆったりとした気持ちで行うことも重要ですよ。
 
母乳が出るようになるには、ホルモンを出すことの他に、もう一つ重要なことがあります。
今回は少し長くなってしまったので、次回お話ししますね。
文責 院長