Journal Obstetrics and Gynecology Researchという英文医学雑誌の2022年3月号に東京マザーズクリニックの菅先生の論文が掲載されました。タイトルは「The effects of post-frozen-thawed embryo transfer pregnancy on early fetal development」です。
論文の要旨は体外受精で産まれた赤ちゃんの平均体重は大きいということが以前から知られていますが、我々のクリニックの研究で自然妊娠例と比較した結果、妊娠初期の胎児の発育のスピードに差があることを明らかにしました。一方、妊娠中期、後期の発育のスピードの程度は自然妊娠例と同程度であることから、出生時体重の差は妊娠初期の発育の差にあるという結論です。その原因について今回は明らかにできませんでしたが、受精卵の培養環境によるもの、あるいは着床後の子宮内環境による影響なのかは今後の研究の課題です。お母さんのお腹の中の赤ちゃんの発育は妊娠中のいろいろな影響を受けるため、個人差がありますが、体外受精の赤ちゃんが大きくなる原因は妊娠中の環境ではなく、着床前後の影響が大きいということが明らかにされ、大変意義のある研究成果だと思います。
この論文は世界中の産婦人科の医師が読む医学雑誌にその研究結果を査読評価され掲載されました。菅先生は日々の診療の傍らこの研究をまとめてくれました。大変だったと思います。菅先生ご苦労様でした。
また、統計学についてのサポートをしていただいた東邦大学の大庭先生にも感謝いたします。