前回、バウムクーヘンのような形をした硬膜外腔に向けて皮膚から針を挿入し、管を入れるという話をしました。まず、皮膚から硬膜外腔に向けて刺す方向で多少真ん中からずれる可能性があります。なにしろ硬膜外腔は直接目で見ることができないからです。そのため施設によっては、超音波を使用し、どの方向に脊椎があるかを確認しています。
次にバウムクーヘンの形をした硬膜外腔や脊椎がそもそもまっすぐでないこともあります。変形や、体勢による彎曲やねじれがあり、まっすぐ刺しても真ん中からズレて入ることもあります。
上手く真ん中に入ったとしてもすぐに抜けてしまわないように管を3~5cmは硬膜外腔に入れておく必要があります。抜けないように入れた管の先端は、残念ながら真ん中にとどまることはなく少なく、右か左かに移動します。
また何とか挿入した後も、カテーテルはおとなしく同じところにいるとは限りません。あっちに行ったりこっちに行ったり動きます。当然背骨が動き、血管が拍動するわけですので、移動してしまうのです。
これらの理由で最初から片側しか効かなかったり、突然片側しか効かなかったりという現象が起こってしまいます。 このような現象が起こっても、必ずしも痛みがゼロにできないことはありませんので、心配せずに、正しい処置を受けて、つらくない出産を迎えましょう。