平成25年11月30日(土)に東京駅近くにあるサピアタワーにて第117回産科麻酔学会学術集会が行われました。年に一度、全国の周産期医療施設から産科医、麻酔科医、助産師、看護師が集まり産科麻酔について議論する学会です。

この学会において、東京マザーズクリニックの助産師スタッフが研究発表をしました。前回の母性衛生学会での発表と同じく、無痛分娩と母乳育児についての研究です。前回の発表の内容に症例数と統計解析を追加し、さらに深く掘り下げた内容の研究となりました。
今回の学会では、私たちクリニックの研究が評価され、多くの発表者の中から大川賞受賞候補演題として選ばれました。我々クリニックの研究が高く評価されたことは、大変光栄なことです。

助産師スタッフによる発表も無事終え、会場内の皆様から研究について興味を持っていただいたコメントを多く頂きました。
研究結果は、当クリニックの人工乳を必要としない母乳率は56%であり、これは厚生労働省から発表されている我が国の母乳率42%を上回る良好な母乳率でした。無痛分娩中に使用する麻酔薬あるいは陣痛促進剤など、無痛分娩に関する種々の因子の影響は統計学的に影響しないことが示され、無痛分娩による母乳育児に与える影響はないと考えられました。多変量解析の結果、最も母乳の確率に影響を与える重要な因子として、産後2週間における母乳栄養の状況であることが明らかとなりました。

今回の研究から言えることは
①無痛分娩でも母乳育児は可能であること
②産後すぐの母乳による育児が難しくても、産後2週間までの母乳ケアにより母乳育児の確立が可能となること
が示されました。

これらの研究の結果をもとに、クリニックでは産後の母乳ケアをさらに充実させるためにスタッフと議論し改善し、患者さまに提供させていただきます。
今回の発表は統計解析により、母乳育児に重要な因子を見いだせることが可能でした。この統計解析において、横浜市立大学臨床統計学・疫学の大庭真梨先生のご協力により、まとめることが可能でした。
この場を借りて、大庭先生に御礼を申し上げます。