平成27年11月28−29日に東京都内で第119回日本産科麻酔学会が開催されました。毎年行われる学会で、全国の産科医、麻酔科医、そして産科医療に携わる助産師や看護師が集まり、無痛分娩、帝王切開、産科救急に関する議論が活発にかわされる学会です。
今回、私は無痛分娩に関する発表を行い、光栄にも学会賞(大川賞)をいただきました。大学病院や名だたる病院からも発表されるなか、クリニックからの発表が評価されることは大変光栄であるとともに、これまでの東京マザーズクリニックの歩みを評価されたものと大変感謝しております。


第119回日本産科麻酔学会 大川賞 表彰状

今回の私の発表では、無痛分娩において帝王切開や器械分娩となる因子(原因)を探るという目的で研究を行いました。研究の結論から申しますと、帝王切開や器械分娩の原因は、無痛分娩に関わる影響よりも、自然分娩と同様な原因が帝王切開や器械分娩に影響しているということがわかりました。特に強く影響している因子として、お産の経験の有無、妊婦さんの身長や体重、赤ちゃんの出生時体重でした。麻酔による影響や誘発分娩による分娩管理、また妊婦さんの年齢は影響しておりませんでした。また器械分娩は自然分娩と比較してやや高い割合でしたが、帝王切開の割合は自然分娩の帝王切開の割合と同程度でした。
研究から言える事は、無痛分娩も自然分娩と同様な原因が帝王切開や器械分娩に影響していることが多く、高齢妊娠の理由で無痛分娩が帝王切開や器械分娩に影響するということを過度に心配する必要はないということです。そして分娩のリスクを下げるためには、妊娠中から妊婦さんの体重管理が重要だということです。当クリニックでは栄養士が食事指導を行い、妊娠中の健康管理に力を入れておりますので、今後さらにこれらのリスクも減ってくるものと考えています。
海外では一般的になってきている無痛分娩ですが、日本でも最近では無痛分娩を希望される妊婦さんが増加してきています。しかし無痛分娩に関して不安が強く、無痛分娩に興味はあるが結局自然分娩を選択される妊婦さんも多いかと思います。今回の研究の結果から無痛分娩に興味を持っていただける方が増えていただける事を願っています。
 また、今回の学会では東京マザーズのスタッフも発表いたしました。産後の痛みのコントロール方法と母乳育児への影響に関する研究を行い、産後の痛みのコントロール方法により母乳育児を妨げなかったという発表をいたしました。我々クリニックでは分娩中の疼痛コントロールだけでなく、産後の痛みのコントロールにも力をいれております。
東京マザーズクリニックは開設以来、毎年産科関連の学会での発表を行っています。これからも妊婦さんにより質の高く、満足度の高い医療を提供していくために、我々の研究結果から多くを学び医療現場にフィードバックしていきたいと考えております。
また、これから妊娠を考えていらっしゃる方、分娩方法を悩んでいる方で無痛分娩に関するご質問がありましたら遠慮なくクリニックにお越しください。ご不安になっている質問にお話させていただきます。

当院の無痛分娩についてはこちらのページでもご覧いただけます。