当院で行われている硬膜外無痛分娩という方法は、脊椎の手術で異物が挿入されている場合には一般的には感染のリスクがあることや、効果にばらつきがあることから、硬膜外鎮痛ができない施設がほとんどです。

当施設では今まで、なるべく多くの方に無痛分娩を提供できる施設を目指しており、側弯症のかたや、腰椎ヘルニアの方など脊椎に変形や疾患がある方も全て受けてきました。

このたび、脊椎に広範囲に手術創があり、ロッドと呼ばれる医療器具が挿入されている妊婦の方が無痛分娩を希望され来院されました。

ご本人と相談し、硬膜外鎮痛を主体として補助的に非薬物療法による鎮痛を併用し、痛みがないお産ができましたのでご紹介いたします。十分な感染対策を行い、硬膜外カテーテルを挿入し、痛いときでも2/10くらいの痛み(10点がマックスの痛みとすると、2点くらいという意味)で鎮痛薬を使用し痛みはゼロになりました。その後の出産時の痛みもゼロでした。

今回出産された方は他の複数の施設で無痛分娩を断られ、ダメもとで当院に来院された方でした。当院では、なるべく断らない無痛分娩を行っていきたいと思います。そのためにも予想される合併症やリスクは麻酔科外来でお話しします。なるべくご期待に沿える形で産痛緩和を行いたいと思います。

無痛分娩を希望されている方は、はじめから諦めずに、一度当院の麻酔科外来を受診してみてください。

注釈:今回の内容記載に関しましてはご本人に許可をいただき、記載させていただいております。今後学会発表で硬膜外無痛分娩の適応について発表予定です。