膜外無痛分娩を開始した後に、『貧血になった』と患者さんが仰ることがあります。この貧血とは『立ち眩みのような感じ』『めまい』『耳鳴り』『くらくらする』『ボーっとする』などの症状をまとめた表現でされます。朝礼で立っているときに立ち眩みが起こるときと同じ症状です。実はこの『貧血』という言葉は医療用語としては正しくありません。医療で使う『貧血』は血液中のヘモグロビンという物質が少ないときに使います。ヘモグロビンは酸素を運ぶ際に必要となり、これが少ないと酸素が血液で運べなくなってしまいます。脳に酸素が回らなくなると、前述した『立ち眩みのような感じ』『めまい』『耳鳴り』『くらくらする』『ボーっとする』といった症状は出ることはありますが、これらの症状が起こるからといって必ずしもヘモグロビンが低いわけではありません。ヘモグロビンが低い理由は出血や鉄不足などがありますが、麻酔が原因でヘモグロビンは低くならないので『貧血』には当てはまりません。
では、なぜこれらの症状が麻酔後に起こることがあるのでしょうか?