2024年5月31日より、日本全国でRSウイルスに対する母子免疫ワクチン「アブリスボ®筋注用」が発売されることになり、東京マザーズクリニックでも2024年7月1日から接種が可能となります。

RSウイルス感染症とは、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)はRSウイルスの感染による呼吸器の感染症で日本を含め世界中に分布しています。乳幼児の呼吸器感染症の主要な原因となるウイルスでもあり、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。症状としては、発熱、鼻汁などの軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々ですが、約70%の赤ちゃんは数日後には回復すると言われますが、約30%の赤ちゃん、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんでは細気管支炎、肺炎など重症化しやすいため注意が必要です。RSウイルス感染症には特効薬はなく、基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)を行います。

RSウイルス感染症の感染経路は接触感染と飛沫感染で、発症の中心は0〜1歳児であるため、生後早期からの予防が重要です。RSウイルスの再感染では感冒様症状のみの軽症である場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれていない年長児や成人が赤ちゃんと接触することにより感染することがあり、症状がある場合には可能な限り乳幼児との接触を避けることが乳幼児の発症予防に繋がります。

以上から生後早期からのRSウイルス感染症の予防がとても重要となります。この度承認を受けたRSウイルス感染症ワクチン(アブリスボ®︎)は、妊婦さんに接種することで母体のRSウイルスに対する抗体を増やし、その抗体が胎盤を通して胎児に移行することで、生まれた赤ちゃんがRSウイルス感染症に対して予防効果を得られる母子免疫ワクチンです。妊婦へのワクチン接種による効果は、生後6ヶ月までの臨床試験の結果、発症予防効果は約50%といわれ、重症予防効果は約80%と言われています。妊娠24~36週の妊婦が接種の対象となりますが、特に28週から36週の接種が有効とされ、接種後14日以内に出産した場合、抗体の胎児への移行が十分でない可能性があると言われています。

RSウイルス感染症は、特に乳幼児にとって重大な健康リスクをもたらしますので、妊娠中のお母さんにR Sウイルス感染症ワクチンをおすすめいたします。

当クリニックのかかりつけの妊婦さんだけでなく、当クリニックにおかかりでない妊婦さんも接種可能です。

詳しくはクリニックスタッフにお尋ねください。