久松理事長のコラム

東京に住んで NO.3

2023年11月08日

東京に住んで、早いもので10月に3年となりました。

 3年住んで私なりに感じたことを述べたいと思います。

 “歩道は、いつから自転車専用になったのでしょうか?”

 東京で歩道を歩いていると、いつも感じることは、歩道を歩くのは危険と隣り合わせ、大袈裟ですが毎日恐怖感を感じながら歩いています。

 私だけでしょうか?

 歩いていると、前方から後方から歩行者を避けながら自転車が突進?してきます。

 私は、サイドミラーもバックミラーも持って歩いていません。

 歩いていて何度後ろからの自転車とぶつかりそうになったか?

 皆さん怖くないのでしょうか?

 先日は、子供さんを乗せた自転車とあわや衝突という事態に遭遇しました。

 私が、自転車に乗り始めたときに学校で習ったのでは、自転車は車道を左側通行と教わりました。この最近は法律が変わったのでしょうか?

 先日、交番でおまわりさんに以上のことを質問しました。

 やはり変わっていないそうです。そして、先日新聞に自転車の運転者に青色の警告カードを渡すそうです。自転車購入時、販売店で法律の冊子などを交付してはいかがでしょうか?

 自転車の歩行者との接触事故が絶えないそうです。

 毎日歩行中に衝突して事故にあわないことを祈るばかりです。

 そして、時折赤信号を平気で横断している自転車も見かけます“赤信号みんなで渡れば怖くない”なんて言った時代がありました。怖いですね。

 皆さんも、子供さんを乗せて自転車を運転するとき、歩道を歩いているときには十分注意してください。

 自転車の話だけになりましたが、3年たって現在週2回東京マザーズで診察させていただいています。

 なかなか東京に慣れなかったのですが、外来で超音波をしながら患者さんと今までの経験をもとにお話しする時間が持てて、患者さんにはご迷惑かもしれませんがとても幸せに感じています。

 まだ、頑張って行きたいと思っています。

 よろしくお願いします。

葉酸を取っていますか?

2023年01月05日

 葉酸とは、ビタミンB群の1つでほうれん草から発見され名付けられました。葉酸は人工化合物でサプリメントなどに含まれる「葉酸」と、野菜や果物に含まれる葉酸塩に分けられます。葉酸塩は、枝豆・ブロッコリー・芽キャベツ・アスパラガス・モロヘイヤや柑橘類・レバーなどに含まれています。

 妊活中・妊娠中・産後に葉酸が大変重要な役割をすることを説明いたします。
 葉酸は、細胞分裂を助ける役割があり、赤ちゃんの奇形(特に神経管)を防ぎ、葉酸不足は神経管閉鎖障害(妊娠6週で神経管が閉鎖)の原因となり、妊娠してからの摂取ではなく妊娠前からの摂取が重要でアメリカ・カナダでは小麦粉製品に葉酸添加し葉酸のサプリメントの摂取を推奨しています。そのおかげで、アメリカ・カナダでは発症率が減少しました。
 日本では、食事の欧米化により緑黄色野菜の摂取が減少し、30年前と比べて倍以上と増加傾向にあります。また、日本人の7割の人は葉酸の吸収率が低いと言われています。 
 現在、日本人の1日葉酸接種量の平均は240㎍で、厚生労働省は必要な摂取量は400㎍摂取するよう言っています。神経管閉鎖不全症は、日本では出生1万人(死産を含む)に6人とされ、二分脊椎・脳瘤・無脳症になります。二分脊椎症は、神経管の閉鎖不全で背骨の一部が形成されなかった事により背骨の中にあるべき脊髄が外に出てしまうもので、症状は軽いものから歩行障害・排泄障害を起こします。脳瘤は、頭蓋骨の一部な欠損で組織の一部がこぶのように突出したもので、多くは水頭症を合併します。無脳症は、脳の一部または全部欠損したもので、生まれる前に流産するか生まれても数日でなくなります。
 上記疾患の原因は多因子であり、葉酸接種不足だけでなく、ビタミンA過剰摂取、抗てんかん薬服用、糖尿病、高度肥満、遺伝などが複雑に影響すると考えられています。予防として妊活中からできることは葉酸摂取ですが、食品からの摂取に加えサプリメントからの摂取が推奨されています。また、妊娠してからの葉酸不足による影響は、後期流産・死産・胎児発育不全・早産・妊娠高血圧腎症・常位胎盤早期剥離・貧血などを起こすともいわれています。また産後では、産後うつ病への影響が報告されています。

 葉酸の摂取の大切さが理解いただけましたか?妊娠する前から産後までサプリメントを接取して葉酸不足を防ぎましょう。 

新年のご挨拶

2023年01月01日

 明けましておめでとうございます
 昨年暮れには、コロナ第8波が収束なく約3年間の長いコロナ禍に悩まされ続けた1年間でした。
本年は、卯(ウサギ)年で本来の千支では葵卯(みずのと・う)となり“これまでの努力が花開き、実り始めること”という大変縁起のいい歳を迎えることとなりました。
 世間では物価上昇・ウクライナ侵攻などもありますが、明るいニュースとして分娩助成金が長年の念願かなって本年度より値上げされるみとうしとなりました。
 本年度も、無痛分娩を中心としたより快適で安全な安心した分娩を心がけてスタッフ一同患者さんに寄り添った医療を行う所存です。
 本年もよろしくお願いします

妊娠中のチーズに注意

2022年11月25日

 皆さんは、チーズがお好きでしょうか?妊娠中に食べてはいけないチーズがあることをご存じでしょうか?
 チーズには、ナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類があり、生産の工程の違いから食べたチーズによって妊娠中の母児に影響することがあるのです。
ナチュラルチーズは、①加熱しない生乳を原料に作る(無殺菌もあり)
          ②加熱殺菌した乳を原料に作る
プロセスチーズは、ナチュラルチーズに乳化剤などを加えて加熱して溶かし再び成形したもの

ここで問題になるのは、加熱・殺菌があるかによって母児へ影響します。
原因菌:リステリア、潜伏期:6時間~10日、中枢神経系は平均3~70日
    自然の土や水の中にみられ、熱・塩・酸・冷凍・乾燥に強い
    冷蔵庫内でも繁殖し18℃では繁殖しない
    食物の味や匂いは変えない
症 状:発熱・筋肉痛・胃腸症状 さらに神経系統に広がり頭痛・痙攣・ふらつき から髄膜炎になる
母体への影響:インフルエンザ様症状  悪寒・発熱・背中の痛み⇒受診を
    流産・早産・死産を特に妊娠26~30週で起こしやすい
胎児への影響:胎盤を通過するため流産・早産・死産を起こす
    早発性:出生数時間~数日   遅発性:出生数週間後
    敗血症(新生児敗血症):生後1週間以降に死亡
    髄膜炎(新生児髄膜炎):体温の異常・無呼吸・皮膚、目の黄染・けいれん・嘔吐・不機嫌⇒ 10~50%は死亡、治療しても20~50%は難聴・知的障害・水頭症に

以上が、チーズの服用での影響ですが、チーズには丈夫な体を作るたんぱく質・歯や骨を健康に保つカルシウム・神経管閉鎖を予防する葉酸・貧血を防ぐ亜鉛など妊娠中に摂取したい栄養をたくさん含んでいます。

注意すべきチーズについて
  ナチュラルチーズ:白カビタイプ(カマンベール・ブリー)
  青カビタイプ(ゴルゴンゾーラ・スティルトン・ロックフォール)
  ウオッシュタイプ(モンドール・エボワス)
  フレッシュタイプ(モッツアレラ・クリームチーズ)
フランスでは、チーズの称号付与に対して殺菌しないという項目もあり、又殺菌しているものもあるので、殺菌していないものは妊娠中に控えるように。
特に輸入されたチーズには十分注意が必要です。
殺菌されているかを確認し、クリスマスに食べるケーキにも注意してください。
プロセスチーズ:スライスチーズ・6Pチーズ・ベビーチーズは大丈夫。

予防方法  リステリア菌感染予防
 ① 生野菜・果物は食べる前に良く洗う
 ② 賞味期限内に食べる
 ③ 無殺菌の牛乳は避ける
 ④ チーズは殺菌・加熱されたものを選ぶ
 ⑤ 加熱してないものを処置したまな板などはよく洗うこと 

以上、これからクリスマスですが、生ハム・スモークサーモンなども気を付けてください。

おぎゃー献金

2022年06月06日

 おギャー献金とは何かご存じでしょうか?
誕生する赤ちゃんが健康で生まれてほしいとの思いは、家族の切なる願いです。しかし、おぎゃーと生まれた赤ちゃんにごくわずかに遺伝病や心身に障害のある赤ちゃんがいます。そのような障害を持った赤ちゃんの施設や心身障害児のための施設及び心身障害の予防や養育に関する研究の補助のために、思いやりの手を差し伸べる愛の運動です。
 この運動は、昭和38年鹿児島県伊佐市(旧大口市)で産婦人科医院を開業していた達矢善栄先生が、当時毎日医院の前を通る近所の重症心身障碍児の3姉妹を見るにつけ、救済する手立てはないかと考え、健康な児を生んだ幸せなお母さん方と出産に立ち会った医師や助産師・看護師たちに“愛の献金”を訴えたのが発端です。そして、この鹿児島から始まった運動を日本産婦人科医会に紹介して、全国展開となったのがこの“おぎゃー献金”で、出産された施設(病院も含む)で献金箱を用意して、愛の献金をお願いして既に60年近くなります。
 献金されたお金は、全国の地方をブロック分けしてその地方で年度ごとに各県の持ち回りでその地域の障碍者施設・障碍者研究施設への分配を行ってきました。(例えば、令和2年九州地区では大分県、中国地方では山口県の施設)
 今回、この話題を取り上げたのは、献金の額が毎年減少傾向にあり、献金の趣旨と利用施設の理解を頂き施設の充実・障害児の未来に向けての手助けを産婦人科に関係された方(妊婦さん他)にお願いします。障害児施設は、出生直後の児だけでなく元気に生まれたのに障害児になる可能性をあります。出産された施設で、産婦人科医会に所属している施設であれば献金箱があると思います。また、この趣旨を理解している施設であれば、医師・助産師・看護師さんからの説明もあると思います。心ばかりの愛の手を差し伸べてくださることをお願いします。
 詳細は、産婦人科医会ホームページ“あぎゃー献金について”に記載されています。
 皆様のご協力をよろしくお願いします。

〒158-0098 東京都世田谷区上用賀4-5-1
東急田園都市線用賀駅よりタクシー 約5分、徒歩約13分