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Dr.聡のコラム

2019年12月の記事一覧

第123回日本産科麻酔学会への参加・発表

2019年12月12日

 令和元年11月23-24日に昭和大学医学部において第123回日本産科麻酔学会が行われました。無痛分娩をはじめ帝王切開などの産科麻酔に関する研究発表が行われる学会で、そのほか産科救急に関しても議論をかわされる学会です。毎年開催され、全国から産科医、麻酔科医、助産師、看護師が参加し勉強しています。
クリニック開院以来、毎年この学会で無痛分娩に関する研究を発表しておりますが、今年は私と麻酔科医の柏木先生が2つの研究について発表しました。
 私の研究は、初産婦で無痛分娩をされた妊婦さんについて、帝王切開、分娩時の出血量に関わるリスク因子についての研究を発表しました。この研究の結論は、帝王切開、分娩時の出血量に関わるリスク因子は母体のBMIと児の大きさが影響することが明らかとなりました。一方で麻酔の開始のタイミングや麻酔使用時間や使用量など麻酔による影響や計画分娩による影響は認められませんでした。また母体のBMIと児の大きさに相関関係を認めたことから、母体の妊娠中のBMIのコントロールが重要と考えられました。最近ではダイエットなどによる痩せ型の女性の妊娠による児の発育への影響が話題となっており、妊娠中の体重管理はあまり厳しく言われない傾向ですが、今回の私達の研究から妊娠中のBMI4以上の体重増加は帝王切開の可能性や分娩時の出血のリスクが高くなる傾向が認められ、妊娠中の栄養管理・指導による体重管理は重要だと考えています。
 柏木先生の発表は、無痛分娩による産後うつ病に与える影響についての研究でした。最近では産後うつ病により母体死亡が明らかとなり、妊娠、産後のメンタルヘルスが周産期医療において課題となっています。今回の研究は無痛分娩により産後うつに悪い影響を及ぼすのかそれとも良い影響を及ぼすのかといった疑問に対する研究でした。現在、私たちクリニックではエジンバラ産後うつ病自己評価表(EPDS)を用いてスコア化して妊娠中、産後のメンタルを評価していますが、このスコアの無痛分娩前後の推移により検討しました。この研究の結果は、無痛分娩が産後うつ病に対し良い影響があったことを示すことはできませんでしたが、一方で悪い影響を及ぼすという結果も示されませんでした。この研究から少なくとも無痛分娩というイベントが分娩前後に妊婦さんに心理的に大きな影響を及ぼすことなく、精神的に安定して産後の育児に移行できていると考えられます。このことは妊婦さんそれぞれが、ご自身の希望・期待する分娩ができることに対する安心感・達成感の結果と考えることもできます。
 私達クリニックは妊婦の皆様に安心で安全そして理想的な無痛分娩を提供できるように、これからも無痛分娩に関する研究に取り組み、日々の診療にフィードバックしていきたいと考えています。
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