2019年05月01日
こんにちは!
GWいかがお過ごしでしょうか?
さて今回も第45回母乳育児支援学会in東京の内容の一部をご紹介します
みなさまは母乳育児を経験した方から、
”脂肪の多いものを食べると乳腺炎になる”
‟焼き肉を食べたら乳腺炎になった”
‟甘いもの・おもち・乳製品をたくさん食べたらおっぱいがつまった”など
授乳中の食事の内容が乳腺炎を引き起こす原因になっていると聞いたことがありませんか?
乳腺炎にならないように、食事の制限をされる方もいるかもしれません。
本当に脂肪の多いものを食べると乳腺炎になるのでしょうか?????
正解はNOです!
実は”脂肪の多いものを食べると乳腺炎になる”という言い伝えには、科学的な根拠はありません。
お母さんの食べたものがそのままの形で母乳に出ていくのではなく、
体内で分解、代謝され母乳の成分がつくられていくのです。
母乳の成分の約87%が水分、約12%が乳糖・脂肪・オリゴ糖・カゼインなどの固形分と言われています。
お母さんの食事が母乳の成分に与えるものとして、魚に多く含まれるDHA(脂肪酸の一種)などは魚摂取量により増えると言われていますが、それ以外の食事内容は母乳の構成成分に影響はないと言われています
DHAが増えることにより乳腺炎を誘発するということもありません。
さらに母乳中に含まれる脂肪球の直径は0.002~0.006㎜に対し、乳管の直径は2㎜程度と言われており、脂肪分により乳管がつまり乳腺炎になるとは考えにくい状況です。
‟だけど私は焼き肉を食べたら乳腺炎になった!!!”、‟おもちを食べたら乳腺炎になったことがある!!!”という経験をされた方もいるかもしれません。
例えばその時に外食をしたため授乳するタイミングがなく、いつもより授乳間隔が空いてしまった…
お正月などに帰省をして普段と違う環境で授乳をしたときに赤ちゃんの気が散ってしまい、しっかりと飲めなかった…
など、もしかすると食事の内容ではなく授乳のタイミングや環境の変化により乳腺炎を引き起こしてしまったのかもしれません。
そのため、これまで乳腺炎が心配で油もの・甘いもの・乳製品などを控えていたお母さんも、食事の制限をせずにバランスよく摂取することをおすすめします
いろいろなことにしばられることなく、楽しく母乳育児ができるといいですね
お困りなことがありましたら母乳外来にご相談ください
2019年03月28日
東京は桜が満開です
クリニックの周りの桜並木もとてもキレイに咲いています
寒暖差の激しい時ですが、みなさま体調崩されていませんか?
まだ花粉症で悩まれている方も多いと思います。
さて、今日のテーマは「国際基準と母乳育児」です。
最近、液体ミルクの販売が始まるということで、ニュースやネットで色々なことが騒がれていますね
本当に正しいことを伝えているものもあれば、中には誤解を招くようなことが伝えられていたり・・・と、
色々な情報が錯そうしていますが、ここでは医学的根拠に基づいた情報をお伝えしていきたいと思います。
「母乳代用品のマーケティングに関する国際基準」というものがあることをご存知でしょうか?
これは、1981年にWHOによって制定されたものです。
この「国際基準」の目的は、第1条にかかれています。
‟この「国際基準」の目的は、母乳育児を保護・推進し、「必要な場合には、適切な情報に基づき、
公正妥当なマーケティングと支給を通じて、母乳代用品が適切に用いられること」を保証し、
それにより乳児に対する安全で十分な栄養の供給に寄与することである”とされています。
この「国際基準」には、母乳代用品に対して、ラベルの表示の仕方や印刷される文章の内容まで決められています。
その内容がネットで話題になっていたようですね
また、母乳育児がうまくいくための10のステップが2018年に改訂されましたが、
この中の、施設としての必須の要件の1aに
「母乳代用品のマーケティングに関する国際基準」と世界保健総会の関連決議を完全に順守する。とあります。
乳幼児と母親の健康を守るためには、この「国際基準」を順守することがとても大切なのです。
しかし、母乳代用品を使用してはいけないということではありません。
この「国際基準」の目的にもかかれているように、重要な事は、母乳代用品を使用する際、
適切に宣伝されたり、適切に手に入れたり、適切に使用したりすることが大切なのです。
母乳で育てることは乳幼児や母親にとって最適な栄養方法だと言われています。
しかし、中には母親の感染症や、児の養育環境など様々な要因によって、
母乳代用品である人工乳がベストな選択になる母子がいることも事実です。
何が何でも母乳で育てなきゃいけない、ということではなく、
まずはみなさまに母乳で育てることの大切さやすばらしさを知って頂くこと、
また、根拠に基づいた方法で支援すること、
母子が健康でいられる方法を一緒に考えること、
そして決めたことをベストな状態で行えるように支援し続けることが、
私たち母乳育児支援者の務めだと思っています
参考・引用文献
乳幼児の健康を守るために:WHO「国際基準」実践ガイドブック
保健医療従事者のための「母乳代用品のマーケティングに関する国際基準」入門
2019年02月26日
こんにちは
最近は暖かい日もあり、春がやってくるまでもう少しでしょうか
そして、花粉症の方にはつらい季節ですね
みなさま体調はいかがでしょうか?
前回に引き続き、第45回母乳育児支援学習会in東京の内容の一部をご紹介したいと思います。
“母乳が出ない人はどのくらいいるの?”というとても興味深い内容でした。
私自身も母乳に関する知識はありますが、実際に母乳育児を経験したことがないので、母乳がたくさんでるタイプなのかそうでないのかわかりません。
みなさんもこれから母乳育児を頑張りたいと思っていても、「母乳が出なかったらどうしよう…」という不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
結論からお伝えすると大多数のお母さんは母乳がでます
しかし、赤ちゃんが必要とする量以上の母乳が出る方もいますが、母乳の量が足りず人工乳の補足が必要な方もいらっしゃいます。
産後すぐから母乳が出始める方もいますが、産科施設を退院してから出始める方もいます。
母乳の出る量や出始めるタイミングは個人差がありますが、適切なケアをしていても母乳が一滴もでない!という方は極わずかだそうです。
母乳が全くでない場合に考えられる原因は…
・乳頭の手術後(手術の内容によっては母乳がでることもあります)
・内分泌系の病気など
乳頭の手術歴がなく、母乳分泌のメカニズムに沿ったケアを行っていても母乳が全くでない場合は、内分泌系の病気が隠れていることがあります。その場合はお母さんの今後の健康のためにも内分泌内科の受診をおすすめします
母乳を出やすく、量を増やす方法は…
こちらのBlogでも何度かご紹介している、母乳分泌のメカニズムに沿った母乳育児の実践が大切です。
当院ではお母さんや赤ちゃんの体調に合わせて、可能な限り「母乳育児がうまくいくための10のステップ」に沿った母乳育児支援をしております。
いかがでしたでしょうか?
“母乳が出ない人はどのくらいいるの?”という議題は、当院の母乳育児支援がお母さん・赤ちゃんのために有効であることが再確認できる内容でした。
母乳育児に関する質問などありましたら、妊婦健診中、入院中、退院後もお気軽にお問い合わせください
2019年01月31日
2018年12月29日
こんにちは
年末年始のお休みに入り、ご家族で楽しい時間をお過ごしでしょうか?
前回に引き続き、ニップルシールドのお話です。
今回はニップルシールドの使用方法についてご案内します。
洗浄
初めてご使用する前に、ニップルシールドと保管用 ケースを洗浄しましょう。
毎回使用後に常温(約 20 °C)の水ですすぎます。その後、洗剤の入ったぬるま湯(約 30 °C)で十分に洗浄します。
市販の食器用洗剤(人工的な香料や着色料を含まないものが好ましいです)を使用しましょう。
最後に常温(約 20 °C)の水ですすぎましょう。
洗浄後は清潔なふきんで水気を拭き取るか、清潔なふきんの上で乾燥させます。
消毒
1日1回は消毒を行いましょう。
まずはじめに「洗浄」に記載されている方法でニップルシールドを洗浄します。
その後、①水に浸して、沸騰後5分間煮沸します。
②電子レンジ用の消毒容器を使用し、説明書に従って電子レンジで加熱する
①あるいは②の方法で消毒した後は、清潔なふきんで水気を拭き取るか、清潔なふきんの上で乾燥させます。
保管
清潔なニップルシールドを、清潔な保管用ケース(付属している場合)に入れてください。
あるいは、清潔な保存バッグまたは清潔な環境内で保管します。
残った水分はすべて乾燥させることが重要です。
密閉した容器/バッグに保管しないようにしましょう。
使用方法
乳房に触れる前、ハンドソープを使用して、手をよく洗ってすすぎましょう。
清潔なタオ ルまたは使い捨てペーパータオルで手を拭き乾燥させます。
濡れた布で乳房とそのまわりを拭きます。石鹸やアルコールを使うと乳首が乾燥しひび割れの原因となりますので控えましょう。
水でニップルシールドを湿らせてください。母乳を使用してもよいです。
湿らせることで、ニップルシールドが皮膚に密着しやすくなります
先端が裏返しになるくらい押して、ニップルシールドのヒダ部分を持ちます。
ニップルシールドが乳首の上中央にくるように装着します。
授乳中、波型のカッティング部分に赤ちゃんの鼻が向くようにセットします。
そうすることで、授乳中赤ちゃんがお母さんの匂いを感じることができます。
圧迫感なく、ぴったりと快適に装着できるサイズを選びましょう。
いかがでしたでしょうか?
ニップルシールドに関してご不明な点があれば母乳外来などでご相談ください