2016年11月20日
こんにちは!
寒さが厳しくなり、楽しいクリスマスや年末年始の忙しい時期が近づいてきましたね
みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今回は母乳不足感についてのお話です。
新生児期から授乳をはじめ、数週間が経ちようやく母乳育児が軌道にのってきたかな♡と思い始めたころに
・おっぱいが張らなくなってきた
・授乳をしても赤ちゃんが泣き止まない
・赤ちゃんのうんちの回数が減ってきた
・赤ちゃんが指や手を吸うようになった
…というような経験したことはありませんか?
このようなことが起きると、今まではおっぱいだけで満足していたけど、
母乳の量が減ってきて足りなくなってしまったのかな?
人工乳をあげたほうがよいのかな?と感じてしまう方もいらっしゃると思います。
このような感覚を母乳不足感といいます。
赤ちゃんが泣いているからかわいそう…
ご家族から人工乳の使用を促される…
などの理由によって、できることなら母乳を頑張りたいけれど
赤ちゃんのために人工乳を使用される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、母乳不足感がある=母乳が足りていない訳ではないのです!!
ではなぜ母乳不足感が起こるのでしょうか?
一般的に、産後数週経つと乳房の張りは少なくなると言われています。
しかし乳房の張りが少ない=母乳分泌が減っているのではありません。
この時期は母乳を分泌すればするほど母乳量が増えるといわれています。
そのため、乳房の張りがないため「足りない!」と思って人工乳を飲ませてしまうと、
その分母乳を飲む量が減ってしまう→その結果、母乳の分泌量が減ってしまう。
ということになってしまうかもしれません
赤ちゃんは生後2~3週頃、生後6週頃、生後3か月頃に
飲ませても飲ませても泣き止まない時期があります。
これは赤ちゃんがぐーんと成長する時期でたくさんの栄養を必要とすることなどから
一般的に授乳回数が増える時期といわれています。
赤ちゃんが欲しがるタイミングで授乳をしたり、泣き止まない時は抱っこしてあやしてあげたり、
赤ちゃんのお腹をやさしくさするなどすると落ち着くことがあるかもしれません
また赤ちゃんは生後数週間を過ぎるとお腹でうんちを貯めるようになり、うんちの回数が減ってきます。
(なかには数日に1回しかうんちをしない赤ちゃんもいます。)
うんちの回数が減ることがあっても、母乳不足によるものではないといわれています。
母乳で育っている赤ちゃんによく起こることなのです。
さらに赤ちゃんは生後1ヶ月過ぎから指や手を口に入れて吸うようになりますが、
これは正常な発達段階における行動であるため、母乳不足のサインではありません。
母乳不足感により、母乳育児の自信をなくしてしまうママもいるかと思います。
赤ちゃんの行動には母乳不足以外にも様々な理由があり、
正常に発育・発達している証拠であることもあります
今回記載したケース以外にも、母乳不足かな?と感じることがあれば
ぜひ母乳外来にご相談にいらしてください。
赤ちゃんの体重の増え方や母乳分泌の状態を拝見し、根拠に基づいた提案をいたします。
場合によっては人工乳を使用せずに母乳育児を続けられることがあるかもしれません。
みなさまの母乳育児に関する不安が少しでも解消できるようにお手伝いさせていただきます
2016年10月19日
前回葉酸の話しがでていたので、今回は鉄分の話をしたいと思います。
妊娠だけにかかわらず、現代の女性に鉄分不足の症状がある方が多いので、下記のような症状がある方は鉄分不足を疑ってみて下さい。
・めまいや立ちくらみをよく起こす。
・肉や魚、卵をあまり食べない。
・爪が割れやすい。
・顔色が悪いとよく言われる。
・食後にコーヒー、紅茶を必ず飲む。
妊娠前から貯蔵鉄が足りないと、妊娠して週数が進むに従って循環血液量が増える為、血液が薄くなりもっと貧血の状態がひどくなる事もあります。
貧血はお腹の中での赤ちゃんの発育にも、出産後の発達にも影響する事があるので、日頃からしっかり貯蔵しておきたいですね。
そのためには、以下のように食べ物の内容に注意して欲しいと思います。
1.バランスよく食べること、その上で鉄分の含有量の多い物を意識して食べること。
鉄分の含有量が多い物としては、牛もも肉、豚ヒレ肉、まぐろ、あさり、卵などがあります。
2. 鉄分を貯蓄するためには、鉄分だけを摂ればいいのではなく、葉酸、ビタミンB6,12も赤血球を作るためにも欠かせない栄養素となります。
3. ビタミンCも同時に摂ると吸収率が高まります。
鉄分をしっかり貯蓄していきいきした毎日を過ごしたいですね。
2016年10月16日
最近は、めっきり秋らしくなり、朝晩の冷え込みが辛くなってきましたね。
体調を崩されたりされていませんか?
さて、今回のテーマは「おっぱいマッサージ」です。
みなさんの中には、助産師が「おっぱいマッサージ」をすることで、おっぱいがたくさん出るようになる!と聞いたことがある方がいらっしゃると思います。
または、上のお子さんの出産のときに、助産師にマッサージをしてもらったら劇的におっぱいが出るようになったというようなご経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。
「おっぱいマッサージ」しないと母乳が出ない!!
これは誤解です。
母乳を出すためには、生まれてすぐから赤ちゃんがおっぱいを何度も吸う刺激(24時間以内に8回以上)が大切です。
赤ちゃんが吸ってくれることが、「マッサージ」になっているんですよ。
何度もおっぱいを吸われる刺激によって、プロラクチンとオキシトシンというホルモンが出ます。
それによって母乳がつくられ、量が増えていくのです。
他に効果的だと言われているものは、身体を温めることや、オキシトシンがでるような背中のマッサージなどがあり、当院では、UNICEF/WHOが共同声明している、「母乳育児成功のための10カ条」に沿ったケアを行っております。
もちろん、おっぱいのトラブルなど必要だと考える時は、「おっぱいマッサージ」は行っています。
母乳が出るか不安に思っている方はたくさんいらっしゃるでしょう。
特に初めての出産の方は、みなさん不安ばかりです。
経産婦さんは、上のお子さんの母乳育児を振り返って、いろんな思いがあるでしょう。
母乳で育てることにこだわって自分が辛くなりたくないとおっしゃる方もたくさんいますよ。
それだけみなさんは母乳が赤ちゃんにとっても、ご自身にとっても良いものであるということを知っていて、赤ちゃんに与えたいと考えていらっしゃるってことですね。
とっても素晴らしいことです!!
無理せず、楽しんで母乳育児を続けてほしいと私たちは考えています。
2016年09月16日
まだまだ暑い日が続いていますが、8月も終わり、少しずつ秋を感じられるこの頃。
いかがお過ごしでしょうか?
今回は「葉酸」についてお話ししたいと思います。
妊婦さんに必要な栄養素として、だんだん定着してきているのが葉酸。赤ちゃんの脳や神経を作るのにとても大事な栄養素なんです。
葉酸というのは細胞の伝達情報が集まっているDNAの合成に必要なビタミンです。葉酸を摂取することで神経管閉鎖障害(脳や神経の先天性異常、障害)の発症リスクを低くすると言われています。
では、葉酸をいつ摂取したら良いのかな?という方も多いと思います。
赤ちゃんの脳や神経が作られる大切な時期は妊娠3か月目までです。そのため、妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの間に必要な栄養素なのです。
最近は「葉酸を摂りましょう」というパンフレットやポスターを目にする機会は増えましたが、妊娠初期では妊娠に気づかない人も多く、気づいたら3 か月を過ぎていたということもありますよね。妊娠がわかって産婦人科に行くときは、もう既に葉酸が必要な時期は過ぎていたりします。
妊娠がわかってから慌てて栄養のことを考えるのではなく、妊娠を考えている方は、常に葉酸を摂っておくと安心ですね。
葉酸は、その名の通り、葉もの野菜に多く含まれる栄養素です。日本人の食事摂取基準(2010年度版)では、葉酸の推奨量は、成人女性では1日240μgですが、妊婦の場合はそれに加えて240μg。合わせて480μgにもなります。これを、野菜に換算すると…ほうれん草なら1束、アスパラガスなら16本!これを毎日食べるのはとても大変です!
食欲がない妊婦さんやつわりのある時期はつらいですよね。そして、葉酸は熱に弱く、調理のときに栄養素が失われやすいため、サプリメントで摂ることをおすすめしています。
厚生労働省は、食品からの摂取に加えて、サプリメントから1日0.4mg(400μg)の葉酸の補給を勧めているので、目安にすると良いですね。
2016年09月15日
雨が続いていますね気温の変化で体調くずされていませんか?
前回に引き続き今回のテーマも『搾乳』です。
『手搾乳の方法、搾乳の保存・解凍方法』をご紹介します。
◆手搾乳の方法◆
①搾乳の実施前はハンドソープと流水を使って手を洗います。
母乳には抗菌作用があるので、乳頭の消毒は不要です。
②乳輪の境目近く(乳頭から2~3㎝位離れた位置)をそっと触ります。
『コリコリしたような』、『弾力があるような』他とは違う感触があるところを探します。
③親指と人差し指で②で探した位置を挟むように30秒ほど圧迫します。
乳頭の先のほうへ搾り出すのではなく、
ご自身の背中のほうへ向かって圧迫します。
同じ場所で何回も繰り返すことで少しずつ母乳が出てきます。
④母乳を清潔な容器(哺乳瓶やカップなど)にためます。
⑤母乳の流れがゆっくりになってきたら、
他のところに指を移動させて搾乳します。
⑥両方の乳房で数回繰り返します。
◆搾母乳保存期間の目安◆
新鮮母乳 (室温26℃)…4時間以内
冷蔵母乳(4℃)…48時間以内
冷凍母乳(-20℃)…3ヵ月以内
*冷蔵・冷凍する予定の搾母乳は搾乳後早めに冷凍・冷蔵してください。
◆搾母乳の保存方法◆
・冷蔵する場合は哺乳瓶や清潔な容器で匂いが付かないようふたをして
保存する。
・冷凍する場合は市販されている母乳パックに入れて冷凍する。
・冷蔵庫のポケットや冷凍庫の手前は開閉により温度が変化しやすいので、
搾母乳は冷蔵庫・冷凍庫の奥で保管する。
・保存する際は搾乳日時がわかるように記載する。
・1回使用量に分けて保存すると無駄なく使用できるので便利です
◆搾母乳の解凍・加温◆
・冷凍母乳は冷蔵庫内で解凍するか、流水で解凍する。
解凍後は冷蔵庫で保管し、24時間以内に使用する。
(一度解凍した搾母乳は衛生上、再冷凍することはできません)
・授乳前に微温湯(40℃以下)で湯せんして室温(26℃前後)まで温める。
・母乳に含まれている成分が壊れてしまうため電子レンジや高温のお湯での加温は
できません
いかがでしたでしょうか?
手搾乳は搾乳機がなくても必要があればすぐに実施できるので、
方法を知っておくと便利です。
また搾母乳の保存・解凍方法もぜひ参考にしてください
直接母乳をあげることができない時や、授乳後もう少し欲しがる時など
ミルクの代わりに搾乳を使用してみませんか?
ライフスタイルに合わせて搾乳を取り入れて無理なく母乳育児を続けられるといいですね