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院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

2017年10月の記事一覧

硬膜外無痛分娩とは?

2017年10月12日

当院で無痛分娩の際に使用される麻酔方法は硬膜外麻酔(鎮痛)というものになります。硬膜外麻酔は背骨の中にある硬膜という膜の外側に痛み止めを入れる方法になります。1900年ころより硬膜外麻酔は行われ、より確実により安全に進化してきました。硬膜外麻酔の歴史は無痛分娩の歴史の一部となっています。硬膜外麻酔のない時代の無痛分娩は麻酔薬を全身投与する方法でありましたが、この硬膜外麻酔の登場により、より安全に痛みを取ることができるようになりました。
硬膜外麻酔の説明には硬膜外が何かを説明する必要があります。脊髄神経は皆さんご存知でしょうか?例えばあなたが氷を触ったときに、『冷たい』、『固い』などの感覚を皮膚の神経が感じ、その感覚を背骨の中にある脊髄神経に電気信号で伝えます。脊髄神経に入ってきた信号はそこから脳に伝わり、『冷たい』、『固い』という感覚をあなたが脳で認識するわけです。一方で、『手を動かす』ときは、脳から脊髄神経に信号が伝わり、脊髄神経から手を動かす神経に伝わり筋肉を収縮させて動かします。脊髄神経はこういった信号の伝導の一部を担っています。この脊髄神経は脊髄液という液体の中に浮いています。例えば、豆腐は柔らかく簡単に崩れてしまうため水の中に浮かべることによって、崩れにくくして売られています。脳や脊髄神経も同じように水(脊髄液)の中に浮かべることで外の衝撃から守る作用があります。さらに脊髄液はくも膜という膜によって覆われています。くも膜には硬膜という硬い膜がくっついています。この硬膜の外側が『硬膜外腔』と呼ばれ、この場所に痛み止めを入れると、近くにある神経に作用します。『硬膜外腔』の外側には靭帯や骨があります。

図:脊髄周辺
(背中は下側になり、針は背中から入れる)

痛み止めの薬が神経に作用すると信号の伝導が遮断されるため、『痛い』『冷たい』といった感覚が脳に伝わらなくなり、痛みを感じなくなります。また『動かす』という神経も遮断されると動きづらくなることもあります。『触られている』という感覚は他の神経よりも薬が効きづらいため、麻酔中も触れられている感覚は残ります。麻酔の効きやすさは『痛み』>『動かす』>『触られている』になります。
無痛分娩では『痛み』は取り除き、少しだけ『動かす』の神経も遮断します。痛みは一切何も感じませんが、触られている感覚は残るため、麻酔と聞くと何も感じないと想像される方もいらっしゃいますが、お腹の張り(痛みではなく、収縮する感覚)を感じたり、脚を動かしたりすることができます。
脊髄はとても大切な神経なので、背骨によって守られています。皆さんの背中の真ん中を触ってみてください。頭からお尻まで骨がポツンポツンと触れることができると思います。背骨はこれらの骨がいくつも重なって構成されています。硬膜外麻酔はこの骨と骨の間に針を挿入し、硬膜外腔まで細い管を入れます。細い管を入れることができれば針は抜いて管だけ残してテープで固定します。テープで固定すれば仰向けになっても細い管がつぶれることはありません。必要な時に細い管から薬を入れて痛みをコントロールします。
全身に麻酔薬を投与する方法とは異なり硬膜外腔という小さなスペースに薬剤を入れるので、少量で十分な効果を発揮します。少量であるため、赤ちゃんへの移行もほんのわずかであり、問題にならないと考えられます。
『背中に注射をするのが不安』、『神経の近くに針を刺すことが不安』と話される妊婦さんもいらっしゃいます。痛みの程度は人にもよりますが、多くの方は思ったほど痛くはなかったと仰っていただいております。我々も痛みを取り除くための麻酔が皆様の負担にならないように心がけております。また、神経の近くに針を刺すことに関して、技術力がとても必要になります。経験と知識が豊富で、日頃より扱いに慣れている医師が行うことにより、合併症を極力防ぐことができます。多くの方が当院で無痛分娩を選ばれていることから、我々は日々硬膜外麻酔を行っており、日々安全な痛みのコントロールを行っています。
ご不明な点や不安に思う方は遠慮なくお申し出くださればまた改めてご説明いたします。
 

文責 院長

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