院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

赤ちゃんへの影響はほとんどありませんの『ほとんど』とは?(後編)

2022年05月20日

使用する薬剤は国内外の様々な学会、機関のガイドライン、指針をもとに安全とされるものを安全な量で使用します。胎児だけでなく、生まれた後の赤ちゃんがのむ母乳にも同じことが言えます。産後は必要に応じて薬が処方されることがあります。この処方薬も安全性を考慮し、母乳に移行するか、どのくらい移行するか(母乳移行性といいます)、赤ちゃんに影響するかを判断し、薬の内容、量を決めます。
無痛分娩のメリット、授乳中に内服するメリットというのも、もちろんあるわけです。無痛分娩を行うことで、お母さんの出産に対するストレスを減らし、出産の安全性が高まりますし(緊急帝王切開に対応できること、心血管系への悪影響を減らせることなど)、産後の抗生剤は感染症を減らし、鎮痛薬は歩行や授乳を促します。
なるべく赤ちゃんに影響がないようにしたいという気持ちを最大限に尊重したうえで、痛みを取り除きたいたいと思います。安全性のほうが痛みを取り除くよりも優先度を高くしております。

赤ちゃんへの影響はほとんどありませんの『ほとんど』とは?(前編)

2022年05月14日

麻酔科外来を行っているとご質問をいただくことがあります。無痛分娩の説明で『赤ちゃんへの影響はほとんどありません』という説明の『ほとんど』とは少しは影響があるのでしょうかというご質問をいただきました。確かに『ほとんど』というのは影響がある可能性もゼロではないと不安に感じてしまうかもしれません。今回はこの内容について2回に分けてご説明します。
他の施設のホームページも調べて、同じような記載があったので、どうなのかということで、この方は質問されました。少しでも赤ちゃんに影響があるのであれば控えたほうがいいのだろうかと思われる方もいらっしゃるのは当然と思います。私も同じ気持ちです。
まずお母さんと赤ちゃんは胎盤、臍帯で繋がっています。心臓から出た血液は大動脈を通り、その途中のいくつかの分岐を経て子宮動脈となり、胎盤に血液が供給されます。胎盤にはフィルターがあり、フィルターの目より大きいものは通過できません(どれくらい通過するかを胎盤移行性といいます)。また小さくてもフィルターの効果で胎盤を通過する全ての薬剤が赤ちゃんに行くこともありません。しかし赤ちゃんにわずかですが、薬は流れます。この少しの程度によって、赤ちゃんに影響が出ることがあります。薬の量が多くなれば赤ちゃんに影響が出る可能性が高まるので、投与量を少なくし、赤ちゃんに影響が出ないようにします。(つづく)

帝王切開術後の慢性的な痛み

2022年04月22日

帝王切開の痛みは術直後(数日間のみ)だけだと思われる方がほとんどだと思いますが、時に慢性疼痛といって数か月から年単位で痛みが残る方がいらっしゃいます。このように、直後の痛みを急性痛(急性疼痛)というのに対し、数か月から数年持続する痛み(少なくとも3か月以上)を慢性痛(慢性疼痛)と言います。
慢性疼痛として痛みが持続しやすい方は、術直後の痛みが強い方ということも分かっておりますので、当クリニックでは積極的に術後鎮痛を行い、翌日から痛みで顔をゆがませることなく歩行できるようなシステムに取り組んでおります。
慢性疼痛にしない環境を作りつつ、もし痛みが持続した場合も対応いたしますので、気になる方はお尋ねください。

妊娠すると関節が痛む

2022年04月12日

妊娠するとホルモンの影響で靱帯が緩くなります。緩くなることで骨盤に広がりができ、赤ちゃんが出産しやすくなるわけですが、靱帯のゆるみが痛いとして関節に現れることがあります。
最も多いのが腰痛です。骨盤、腰椎(腰)の靱帯が緩むことに、児の体重が前方にかかることで、腰椎の湾曲が強くなり痛みが生じます。他に恥骨が痛くなる方もいます。骨盤の前方部分で、週数が経過し赤ちゃんが大きくなるころに、痛みが起こります。他に、仙腸関節という腰の下のほうが痛くなることがあります。ひどいケースでは歩くことも困難になります。
このように出産時以外にも痛みが出ることがあるので、もしつらい症状がある場合は気軽にご相談ください。

第一回日本周産期麻酔科学会に参加してきました(後編)

2022年04月04日

大阪大学コンベンションセンターは大阪大学の敷地内にあります。初めて大阪大学を訪れましたが、敷地が広くて驚きました。大学の隣にある万博記念公園も大きいのですが(時間がなくて寄れませんでしたが、コロナが落ち着いたら行ってみたいです)、大阪大学吹田キャンパスも大きい。3会場で発表が行われており、これから無痛分娩を行う施設、もうすでに行っている施設など様々な医師の方々が学ばれておりました。
コロナ禍の産科麻酔、帝王切開の管理、無痛分娩の導入など様々なテーマに沿って公演が行われました。
今後無痛分娩への麻酔科医のかかわりが重要視されます。当クリニックも安全性に十分配慮し、痛みを取り除いていきます。

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