院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

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安全な無痛分娩を行うために求められる医療体制(診療体制について)

2020年02月01日

2018年3月29日付で無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究グループ(代表海野信也)が公表した『無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言』についての解説第3回です。今回がこの提言開設の最終回です。提言の内容としては他の内容にも提言を行っていますが、学会へのインシデントアクシデントの報告やワーキンググループ設置などこのコラムの中での開設の必要はないと考え、今回が最後の解説となります。
今回は『診療体制』についてです。

提言の中で無痛分娩麻酔管理者、麻酔担当医、無痛分娩研究修了助産師・看護師を配置することとなっています。
① 無痛分娩麻酔管理者はその施設での無痛分娩の責任者であり、助産師や看護師の教育、施設方針、無痛分娩マニュアル、危機対応シミュレーション開催などが仕事になります。 無痛分娩麻酔管理者になれる要件として、常勤医師、麻酔科標榜医以上または産婦人科専門医、定期的な講習会受講が挙げられます。
② 麻酔担当医はその施設で無痛分娩を実際に行う者です。妊婦さんの観察、薬剤投与、記録と管理、麻酔開始直後の妊婦さんの集中的管理、無痛分娩中は迅速に対応できるように待機などを行います。 麻酔担当医の要件として、麻酔科標榜医以上または産婦人科専門医、定期的な講習会受講、十分な能力(硬膜外麻酔100例以上、安全確実な気管挿管)が挙げられます。
③ 無痛分娩研修修了助産師・看護師は母子ともに安全で家族も納得のいく分娩を支援、異常が児予測される際に医師と連携し安全を確保、無痛分娩中の全身状態やバイタルサインの観察を行い報告します。 無痛分娩研修修了助産師・看護師の要件には新生児蘇生ができる(NCPRの資格※1)、定期的な講習会受講などがあります。

安全管理対策として、無痛分娩マニュアルや無痛分娩看護マニュアル作成、施設内勤務者が参加する危機対応シミュレーションを少なくとも年1回施行する必要があります。 それ以外にも緊急時に必要な設備、医療機器などを取りそろえておく必要があります。 設備や機器として、気管挿管を行うための器具、除細動器、生体モニターなど 薬剤はアドレナリンなどの強心剤、プロポフォールなどの鎮静薬、ロクロニウムなどの筋弛緩薬など

今回紹介した提言が無痛分娩を行う施設で必須化されれば、どこの施設でもある程度安全な無痛分娩は行えると考えられます。しかし今回の提言には強制力はなく、各医療施設が自主的に提言をもとに安全管理を行っています。そのため、安全な無痛分娩を行うためには無痛分娩を受ける妊婦の皆様と家族の皆様が十分に調べたうえで施設を決めることが重要になるでしょう。
※1NCPR:周産期新生児医学会の新生児蘇生法普及事業が行っている新生児の心肺蘇生法になります。

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