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院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

2020年8月の記事一覧

痛み止めがどのようにして効くか?

2020年08月29日

当院の無痛分娩では硬膜外鎮痛という方法で痛みを取り除きます。全身麻酔ではなく、局所麻酔の一つです。無痛分娩ではごく一般的な鎮痛方法になります。
我々の生活の中で局所麻酔を行うのは歯科麻酔を受けられる方が多いと思います。歯科では『じゃあ、麻酔しますねー』と一般的な処置として行いますが、どうして痛みが取り除かれるのでしょうか?
まず痛みの信号はどのようにして起こるのかについて理解しましょう。
痛みの原因は様々な刺激によって起こります。陣痛は子宮の収縮と赤ちゃんが産道を通過する痛みで、他にも打撲や切り傷であったり、痛みにはいろいろな痛みがあります。これらの刺激が起こると近くにある神経の中で変化が起きます。ナトリウムイオンなどの陽イオン(+の電荷)が周囲の神経細胞に入ります。細胞内に+の電荷が入り、この刺激の情報が神経を伝って、脊髄に入り、最終的に脳に到達し、痛みを感じます。
局所麻酔薬はこのナトリウムイオンが神経に入ることをブロックします。硬膜外鎮痛では痛みの信号が脊髄に入る付近でナトリウムイオンが神経細胞に流入することを妨げこれ以上先に信号が行かないようにします。
なかなか難しい内容で申し訳ありません。お伝えしたいことは、我々はしっかりした理論をもって無痛分娩に取り組んでいることをご理解いただけると幸いです。

母体救命公認講習会について

2020年08月22日

当院で無痛分娩に携わるスタッフは、医師、助産師、看護師全て日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS)が行っている母体救命の講習会に参加し、資格を有しております。
この講習会でどのようなことを学んでいるかを少しご紹介します。
母体救命公認講習会では妊婦さんに起こる可能性のある有害事象を想定したロールプレイを行うことで、どのように考え、指示し、動くのかを学び、共有することでチームとして何か起こった時に対応できるようにします。スタッフが同じ講習をしていることで、それぞれが共通の認識を持ち行動することができます。
ロールプレイの具体的な内容は無痛分娩関連のことだけではなく、帝王切開での緊急事態や産後出血など産科診療で起こることを想定しています。
練習でできないことは本番ではできません。もしものことが起きないように様々な予防策を講じておりますが、万が一何かが起こった際も早期に発見し適切に治療していきます。
無痛分娩に関わる全てのスタッフがこの資格を有しておりますので、安心して出産に臨んでください。

硬膜外無痛分娩はお産が終わるまでしっかり行います

2020年08月15日

前回硬膜外無痛分娩の開始時期を遅らせても帝王切開率や鉗子分娩率に影響を与えないため、妊婦さんが希望するときに硬膜外無痛分娩を開始するということをお話しました。

今回のお話は、硬膜外無痛分娩はいつまで行うのかという内容です。
病院によっては分娩Ⅱ期(子宮口が全開大)すると無痛分娩をやめる病院があります。理由として、いきみ方が分からなくなるからということです。また、分娩Ⅱ期に進行が悪いと同じ理由で無痛分娩を止めてしまう病院もあります。過去の報告では無痛分娩を途中で中止しても結果的に帝王切開率や鉗子分娩率に差はないことが分かっています。そればかりではなく、無痛分娩を途中で中止することでお母さんの分娩に対する満足度は下がってしまいます。
そのため、当院ではお産が終わるまで無痛分娩は行います。
無痛分娩を行っていても多くの方が自分でいきむことはできますし、我々も上手にお産ができるようにアドバイスなどサポートを行って参ります。
最後までしっかり痛みを取り除くことで、お産はもちろん、会陰切開になった場合の痛みや、その後の処置の痛みも取り除くことができるため、最後までしっかり痛みを取り除きましょう。

硬膜外無痛分娩はいつ開始してもいいんです

2020年08月08日

当院の無痛分娩はいつ開始してもいいんです。

病院によっては子宮口が広がってからでないと行わないという施設もあります。昔は子宮口が5センチ広がってから無痛分娩を開始しないと帝王切開や鉗子分娩が増えるといわれていたこともありましたが、最近の研究で子宮口が広がる前と後で無痛分娩の開始を遅らせても娩出方法に変わりはないということが証明されましたので、妊婦さんが無痛分娩を行いたいと希望した時に始めます。

計画分娩の場合は入院して痛くないうちに硬膜外カテーテル(管)を入れておきます。こうすることでいざ痛みが始まった時にそこから麻酔を行うのではなく、すぐにカテーテルから痛み止めを入れることが可能だからです。
逆に妊婦さんの希望で無痛分娩が開始する場合、いつ開始したらよいのだろうと迷う方もいらっしゃいます。生理痛を超えたあたりで始める方もいらっしゃいますし、少しでも痛みを感じたら始める方もいらっしゃいます。もちろんギリギリまで頑張りたいという希望があればそれでも構いません。迷われた場合、スタッフにご相談ください。

無痛分娩中の過ごし方

2020年08月01日

無痛分娩中は妊婦の皆様に過ごし方について、いくつかお願いがあります。
①立ち歩くことはできません
痛みの神経だけでなく、運動神経も少しブロックするため、立ち上がろうとすると転んでけがをしてしまうかもしれません。そのため、ベッド上で過ごしていただきます。
脚が全く動かないというわけではありません。いつものように軽やかな動きはできないということです。
②食べることはできません。
絶対に食べてはいけないというわけではないのですが、無痛分娩中、食事は控えていただきます。理由として、食べ物を食べていると吐き気の原因になること。そして吐いたものを誤って肺に吸引して肺炎を起こすことを避けるためでです。
お腹が減ってしまいますよね。
ごめんなさい(-_-;)
 
一方で以下のようなことは行って構いません
①ベッド上では動いても構いません
前述したように歩くことはできませんが、ベッド上で横を向いたり、座ったりすることはできます。麻酔や点滴の管は抜けないように固定してありますので、動いても大丈夫です。麻酔をしているからとジッと動かない方もいらっしゃいますが、動いて構いません。
我々としてもある程度は動いていただいたほうがいいと考えます。
脚を動かさないまま過ごしていると深部静脈血栓症になってしまうことがあります。エコノミークラス症候群と同じものですが、動かさなくなった脚の血流がうっ滞することで、血栓ができてしまいます。
他にも、麻酔が効いているため、通常ですと足が痛くなることがあっても痛くありません。踵(かかと)や踝(くるぶし)など、脂肪や筋肉がついていない場所が一定時間圧迫を受けると、皮膚が赤くなってしまいます。
定期的に足を動かしたり体勢を変えるようにしましょう。またこちらからこのような体勢にしましょうと指示することもあります。
②一部の飲水は可能です
食べることはできませんがOS-1の飲水は可能です。OS-1は他の飲料と比較し早く胃から吸収されるため安全に飲水でき、吸収されたものは血管に入るため脱水予防にも有効と考えています
 
具体的にはどのように過ごしているでしょうか?
①携帯電話
電話でお話をしている方もいらっしゃれば、アプリを操作されている方もいらっしゃいます。皆様必ずと言っていいほど手元にあり、分娩時も身近に置いてあります。
②読書
趣味の本、赤ちゃんの名前や育児の本など時間があるので本を持参される方もいらっしゃいます。
③名前を考える
産まれるまでにまだ名前を決めてない方も多いです。候補がいくつかというかたもいます。この時間を利用して名前を考える方もいます。
④音楽を聴く
大好きな音楽、リラックスできる音楽を聴き、ゆったりとした時間をお過ごしの方もいます。
④その他
睡眠不足も続いていることでゆっくり休まれる方もいらっしゃいます。また一人になる時間も赤ちゃんが産まれるまでの残り少ない時間を使って、思い出作りなど素敵な時間に当てられる方もいます。
 

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