2018年02月21日
CSEAとは日本語で脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔と訳されます。脊髄くも膜下鎮痛を併用した硬膜外鎮痛ということです。硬膜外鎮痛は以前にご説明しましたが、併用する脊髄くも膜下鎮痛について本日はご紹介します。
脊髄神経は脊髄液という液体の中に浮いており、脊髄液はくも膜という膜によって覆われているということを以前に説明しました。くも膜の外側に硬膜外が存在するわけですが、くも膜の内側(下)に鎮痛薬を入れるので、くも膜下鎮痛といいます。
脊髄くも膜下鎮痛の特徴は硬膜外鎮痛よりも神経に近いためより強く、早く効きます。デメリットは管を入れることができないので、持続的な投与を行うことができません。ですので脊髄くも膜下鎮痛を行う場合は初めに刺す時か、硬膜外鎮痛では十分な麻酔ができない時に限られます。
穿刺は初めの時でしたら硬膜外カテーテル挿入のための針と同じもので脊髄くも膜下鎮痛を行えますので、簡便です。
脊髄くも膜下麻酔単独での無痛分娩は1900年ころより報告がありますが、適応が限られていました。CSEAが分娩鎮痛に用いられたのは1992年Abouleishらによって報告され、硬膜外鎮痛と比較し歴史はまだ浅いです。
硬膜外鎮痛よりもより神経に近くなるため、怖いと思われる方もいらっしゃると思いますが、ほとんどの方がCSEAを使用せずに硬膜外鎮痛だけで無痛分娩が可能です。妊婦さんと相談し、希望した時のみに行います。また、実際には図のように太い神経がドーンとあるわけではなく、我々が穿刺する場所はすだれ状の細い神経があるため、神経を傷つけることも滅多にありません。
いずれにしてもCSEAは当院では行うこともありますが、必要なことはそれほど多くなく、陣痛発来で入院して、すぐに痛みを取りたいケースか、十分に痛みがとり切れないケースに限られます。