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院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

無痛分娩中に起こる痛み(その2)

2020年09月19日

前回はお産に関わる痛みを取り上げました。
今回は入院中に起こるお産以外の痛みを取り上げます。

①点滴の痛み
出産を行う場合、安全のためと子宮収縮剤投与のために点滴をします。インフルエンザ予防接種とは違い、血管内にカテーテルを留置するものになります。カテーテルは柔らかい素材なのですが、入っていることで多少の違和感はあります

②硬膜外カテーテル挿入の痛み
陣痛の痛みを取り除くための麻酔(注射)ですが、これもちょっと痛いです。局所麻酔をして硬膜外無痛分娩のためのカテーテルを挿入しますが、局所麻酔をする注射がちょっとだけ痛いです。そのあとの太い針を刺しますが、痛みはほとんどありません。もし痛みを感じた場合は局所麻酔を追加するので仰ってください。硬膜外カテーテル挿入は神経の近くに挿入するので『ゴソゴソする感じ』はあります。時に響く感じがあるので、それも教えてください。

③内診、頸管拡張の痛み
外来でも行っている診察を行いますが、計画分娩ではまだ頸管(子宮の出口)が広がっていない場合は頸管拡張といって、頸管を広げるために風船を入れます。風船で物理的に広げておくことで、スムーズにお産になるようにします。これも少し痛いです。

④分娩後の痛み
分娩後の子宮は出血を抑えるために収縮する必要があり、生理痛に似た(時により強い)痛みがでます。特に経産婦さんに強く出ます。それ以外に会陰切開を行った場合や会陰部が裂傷などで裂けた場合は縫合をしますが、その傷跡が痛むことがあります。会陰切開や会陰裂傷などを起こした場合、縫合をします。縫合する糸は吸収されますが、気になる場合は退院時に抜糸することもあります。
 
入院中のお産以外での痛みについて触れました。せっかく無痛分娩を選んでいただいている以上、なるべくそれ以外のことも痛みがないようにしたいと思っています。痛み止めのシールを貼ったり、定期的に鎮痛薬を内服するなど、様々な方法で痛みを軽減するように対応します。

無痛分娩中に起こる痛み

2020年09月11日

当院の無痛分娩は完全無痛分娩と銘打って痛みをゼロにするように管理いたします。
しかし、時として一時的な痛みが出る場合などがあるのでご説明します。

①麻酔の開始時
麻酔を開始する前はもちろん痛みます。開始時期はいつでも構いませんが、なるべく痛みを感じたくないのであれば早めの開始が良いでしょう

②突発痛(break-through-pain)
最初は痛くなかったのに、分娩が進むことで下腹部、腰、会陰部が痛くなることがあり、これを突発痛(break-through-pain)と呼びます。分娩が進行することで痛みが強く広範囲に出るため痛みが出ることがあります。予防的に薬は入れていますが、途中で痛みが出た場合は早めに教えてください。追加することで痛みが緩和されます。

③回旋異常
通常赤ちゃんは回りながら分娩に至りますが、回旋異常とはその回り方が通常と異なる向きで進むことで、痛みが出てしまいます。薬を変えることで痛みが緩和されます。

④カテーテル位置異常
硬膜外カテーテルは硬膜外という背骨の中にある空間に管を挿入するのですが、ほとんどの場合真ん中にあることはなく、右か左に寄っていることがほとんどです。それでも左右に効いていれば問題ありませんが、極端に左右にずれている場合は片側にのみ鎮痛効果が出てしますことがあります。またカテーテルが抜けてしまったりすることもあります。この場合、カテーテルを調整や、刺し直しを行います。

⑤麻酔効果不十分
麻酔効果は人によって多少の違いがあります。同じものを使ってもお腹の張りも感じず足も動かなくなる人もいますし、痛みを感じる人もいます。多くの方が痛みがない濃度と量を用いますが、麻酔に強い妊婦さんにはお薬を変更して痛みを緩和します。

⑥脊椎や硬膜外の解剖学的異常
硬膜外腔には血管や隔壁、脂肪などがあり、薬剤の広がりの妨げになることがあります。他にも変形やヘルニアなど薬の広がりに物理的影響がある場合があります。麻酔薬の量を増やしたりして、麻酔を広げることで痛みを緩和します。
 
色々書いてしましましたが、多くの方は痛みを感じることなくお産になりますのでご安心ください。またこれらの痛みが出た場合もなるべく早く痛みを取り除く対策を講じますので心配せずに臨んでください。

硬膜外鎮痛は無痛分娩だけでなく様々な場所で利用されている

2020年09月04日

当院で行われている無痛分娩は硬膜外鎮痛(麻酔)と呼ばれる方法ですが、この方法は無痛分娩にのみ使用されているわけではありません。
私が麻酔科医になった時に初めて見た硬膜外麻酔は手術を受ける患者さまに対して行われていました。陣痛の痛みをゼロにまでしてくれる方法なので、術後の痛みにも有効です。特に呼吸器外科や上腹部手術(胃癌や食道癌など)ではとても有効です。これらの手術(呼吸器外科や上腹部手術)は呼吸によって傷口の痛みが出てしまうため、痛みがあることで呼吸すら辛く、また痰を出すことにも痛みが出るので痰が出し辛く、呼吸器合併症が増加してしまいます。硬膜外麻酔を行い痛みを取り除くことでこれらの合併症を軽減させます。ほかにも腸管を動かす作用もあり、術後の腸閉塞の頻度を下げたり、他にも血栓予防効果や、心血管系への優位性を示すデータがあります。呼吸器外科、上腹部手術にも下腹部手術(帝王切開)、股関節や下肢手術でも使用されますし、ペインクリニック外来では腰痛などの治療にも行われます。
無痛分娩だけでなく、様々な医療現場で幅広く使用されている硬膜外鎮痛についてご紹介させていただきました。

痛み止めがどのようにして効くか?

2020年08月29日

当院の無痛分娩では硬膜外鎮痛という方法で痛みを取り除きます。全身麻酔ではなく、局所麻酔の一つです。無痛分娩ではごく一般的な鎮痛方法になります。
我々の生活の中で局所麻酔を行うのは歯科麻酔を受けられる方が多いと思います。歯科では『じゃあ、麻酔しますねー』と一般的な処置として行いますが、どうして痛みが取り除かれるのでしょうか?
まず痛みの信号はどのようにして起こるのかについて理解しましょう。
痛みの原因は様々な刺激によって起こります。陣痛は子宮の収縮と赤ちゃんが産道を通過する痛みで、他にも打撲や切り傷であったり、痛みにはいろいろな痛みがあります。これらの刺激が起こると近くにある神経の中で変化が起きます。ナトリウムイオンなどの陽イオン(+の電荷)が周囲の神経細胞に入ります。細胞内に+の電荷が入り、この刺激の情報が神経を伝って、脊髄に入り、最終的に脳に到達し、痛みを感じます。
局所麻酔薬はこのナトリウムイオンが神経に入ることをブロックします。硬膜外鎮痛では痛みの信号が脊髄に入る付近でナトリウムイオンが神経細胞に流入することを妨げこれ以上先に信号が行かないようにします。
なかなか難しい内容で申し訳ありません。お伝えしたいことは、我々はしっかりした理論をもって無痛分娩に取り組んでいることをご理解いただけると幸いです。

母体救命公認講習会について

2020年08月22日

当院で無痛分娩に携わるスタッフは、医師、助産師、看護師全て日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS)が行っている母体救命の講習会に参加し、資格を有しております。
この講習会でどのようなことを学んでいるかを少しご紹介します。
母体救命公認講習会では妊婦さんに起こる可能性のある有害事象を想定したロールプレイを行うことで、どのように考え、指示し、動くのかを学び、共有することでチームとして何か起こった時に対応できるようにします。スタッフが同じ講習をしていることで、それぞれが共通の認識を持ち行動することができます。
ロールプレイの具体的な内容は無痛分娩関連のことだけではなく、帝王切開での緊急事態や産後出血など産科診療で起こることを想定しています。
練習でできないことは本番ではできません。もしものことが起きないように様々な予防策を講じておりますが、万が一何かが起こった際も早期に発見し適切に治療していきます。
無痛分娩に関わる全てのスタッフがこの資格を有しておりますので、安心して出産に臨んでください。

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