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院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

麻酔についての記事一覧

産前も痛くないように~その2~

2021年07月12日

前回は点滴の痛みについてお話ししました。
今回は背中の麻酔の痛みへの対策をご紹介します。
まず、硬膜外カテーテルを入れるための針(硬膜外麻酔針)を刺す前に、この針のための麻酔をします。この麻酔の針は直径約0.5mmの非常に細い針です。点滴の針は約0.9mm、採血の針は約0.8mmなので、非常に細い針です。この針から局所麻酔を入れながら針を進めて、この後に刺す硬膜外麻酔針が入る範囲に十分局所麻酔薬を散布します。すると、そのあとの硬膜外麻酔針は押されたり、少し鈍痛は感じますが、針が刺されたような感覚はなくなります。
背中に針を刺すというと、『痛そう』、『怖い』と考えてしまいますが、十分に配慮し、できるだけ痛くないようにしますのでご安心ください。
次回に診察の痛みへの対策についてお話します。

産前も痛くないように~その1~

2021年07月05日

前回は産後の痛みを取り除くお話をしました。今回は出産前の痛みを取り除く方法についてお話します。今回のお話は計画分娩を想定してお話しします。
入院してから陣痛が起こるまでの間に起こる痛みとしては点滴の痛み、背中の麻酔の痛み、診察の痛みが考えられます。どれも出産の痛みに比べれば軽微なものですが、外来でお話を伺うとこれらの痛みに関しても不安な妊婦さんもいらっしゃるので、どのような対応をするかについて解説します。
まず点滴の痛みに関してはペンレステープというシールを張ることで、皮膚の痛みを取り除くことができます。多くの場合、これで痛みを和らげることができます。陣痛や破水入院などでシールを張る時間がない場合などはシールを張らずに点滴を行う場合がございますのでご了承ください。
私も注射は大の苦手で、注射の時は必ずと言っていいほどこのシールを使います。効果はかなりあると感じています。
次回以降で残りの背中の麻酔の痛み、診察の痛みの対策をご紹介します。

『お酒が強い人は麻酔が効かない』は嘘

2021年01月11日

妊婦さんから『私お酒が強いので、麻酔が効きにくいんじゃないですか?』と聞かれることがあります。ご安心ください。お酒が強かろうが弱かろうが無痛分娩は効きます。
どうしてお酒が強い人は麻酔が効かないという考えが出てきたのでしょうか?
恐らくアルコールに対して耐性ができるから麻酔も効かなくなると考えるようになったのではないかと思います。アルコールを分解する過程と麻酔薬を分解する過程で共通する酵素(チトクロームP450)があり、アルコールを常飲してその酵素が増えることで、麻酔薬も代謝されやすくなると予想されます。しかし、アルコールを常飲する人は麻酔が効きやすい可能性があります。アルコールを長期間、ある程度飲んでいる場合、肝臓に障害が起こっている可能性があります。肝臓は薬物を代謝する場所なので、肝臓に障害が残っていると麻酔薬が残存することがあります。一部の薬剤は肝臓の悪い人では目が覚めるまでに時間を要することがあります。
これらのことは全身麻酔の場合の話であり、無痛分娩にはは当てはまりませんのでご安心下さい。いくつか理由を挙げてご説明します。
①妊娠中は飲酒を控える
まず妊娠中はほとんどの方がアルコールを飲まれていないので、酵素は麻酔薬をしっかり分解してくれます。
②硬膜外無痛分娩は直接作用部位である神経の近くに作用する
全身麻酔薬は点滴から血管の中に麻酔薬が入ります。脳で作用するわけですが、同時に肝臓などで代謝を受けていくので徐々に薬がなくなっていきます。硬膜外鎮痛は硬膜外腔という場所に麻酔薬が入りますが、硬膜外腔では代謝されないため、お酒が強い、弱いにかかわらず効果があります。硬膜外に入った麻酔薬は時間とともに血管に吸収され、肝臓などで代謝されますが、血管に吸収された麻酔薬は硬膜外鎮痛には影響を与えないので、無痛分娩の効果に影響を与えません。

というわけで少し難しい解説になってしまい申し訳ありません。
ただアルコールに弱い方はアルコール消毒で皮膚が発赤しますので、お申し出ください。

麻酔科医の資格について

2021年01月04日

本日は麻酔科医の資格についてご紹介いたします。
麻酔科医の資格には主に『麻酔科標榜医』『麻酔科認定医』『麻酔科専門医』『麻酔科指導医』『機関専門医』『専門研修指導医』があります。
『麻酔科標榜医』は日本国家が認めたライセンスで、国家資格となります。2年の麻酔科研修施設での研修を経て取得することができます。他に一定の手術麻酔を経験することでも取得できます。標榜医は1回取得すると、永年継続されます。
『麻酔科認定医』は前述した『麻酔科標榜医』を取得すると、日本麻酔科学会より認定されます。標榜医とは異なり5年ごとに更新が必要です。更新には学会参加や発表などしっかり麻酔学を学んでることと、臨床経験が必要となります。
『麻酔科専門医』は認定医取得後5年以上麻酔科医として働き、専門医試験を受けます。筆記試験、実技試験、口頭試問からなり、3日間にわたって行われます。専門医試験を受ける前に一定の基準があります。ACLS(心肺蘇生)の資格を持っていること、学会参加や発表を行っていること、臨床を行っていることなどです。臨床も心臓麻酔、小児麻酔、帝王切開、胸部外科、脳外科の麻酔を一定数以上行うことを必要としています。
『麻酔科指導医』は麻酔科専門医取得後5年以上麻酔科医として働き、一定の指導症例数の基準を満たすと認定されます。専門医のときのような試験はありません。
『機関専門医』と『専門研修指導医』は最近できたもので、前述の『麻酔科認定医』『麻酔科専門医』『麻酔科指導医』は日本麻酔科学会が認定していましたが、この2つは日本専門医機構が認定しています。『機関専門医』は『麻酔科専門医』よりも学会参加、発表や勉強会などの必要単位数が多くなります。
今このコラムを書いている私は、今現在麻酔科指導医ですが、近い症例麻酔科専門医になります。現在は指導ではなく、東京マザーズクリニックで常勤医として勤務しているためです。
麻酔科関連の資格には主にこれらのものがありますが、他に『心臓麻酔専門医』や『小児麻酔専門医』があります。ちなみに現在は『産科麻酔専門医』はありません。
麻酔科医として、日々の診療を通し、皆様が安全に過ごせるように精進してまいります。

当院の麻酔科医について

2020年12月28日

当院の麻酔科医は痛みを取るだけが仕事ではありません。
産科で起こる予期せぬ出血や緊急事態にも対応します。
産まれてきた赤ちゃんに元気がなければ小児科医、産科医、助産師とともに必要な処置を行います。
痛みを取るだけでなく、お母さんも、赤ちゃんも総合的に診る周産期麻酔科医として東京マザーズクリニックで勤務しております。
分娩の進行や麻酔の効き具合を確認するために、足元側にまわり、診察や分娩の状況、産後の出血状況などを確認することがあります。麻酔の効き具合を確認するために胸元やお腹にアイスノンを当てることもあります。これらのことは安全な出産と適切な無痛分娩を行う上で必要となりますのでご理解のほどよろしくお願いします。
当院の医師は麻酔科医と産科医が同じ目線で、共通の認識をもって診療に取り組めるように、科の垣根のない診療を行っております。産科医が麻酔の知識をもち、麻酔科医が産科の知識を持って臨床を行っております。そのため、色々なところで麻酔科医を見かけると思いますがよろしくお願いいたします。

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