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院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

麻酔についての記事一覧

硬膜外カテーテル挿入の際の姿勢

2020年12月07日

マザークラスなどで指導があると思いますが、硬膜外カテーテル挿入の際は丸くなる姿勢をとってもらいます。体育座りするように膝をかかえ背中を丸くします。お腹に赤ちゃんがいるので可能な限りで構いません。
背中を丸めるには理由がいくつかあります。
一つ目は丸めることで一つ一つの背骨の間隔が広がり穿刺が容易になるためです。
2つ目に丸まることで脊髄神経はお腹のほうに移動するため、万が一の神経損傷のリスクを減らすことができます。
3つ目に丸まるほうが痛みが少ないです。丸まると背中の皮膚が延ばされます。皮膚が伸びれば針で刺す厚みが小さくなるため、皮膚に広がる細かい痛覚神経への刺激も少なくなると予想されます。
安全のためにも、早く終わらせるためにも丸まる姿勢は重要になります。
身体に力が入ると背中の筋肉がこわばり、背骨も触れづらいので、なるべくリラックスしていましょう。消毒と準備に5分ほど、注射をしてから管を入れ終わるまでに5分ほどかかります。実際に注射で痛い時間は10秒ほどです。
カテーテル挿入で痛みを感じる最も大きな要因は不安かもしれません。不安は痛みを助長します。不安が強ければ優しく触れただけでびっくりしますし、押しただけで痛みを感じます。なるべく不安を取り除けるようにお話をしながらやっていきましょう。

硬膜外カテーテル挿入にはしっかりと感染防御を行います

2020年11月30日

昨今新型コロナウイルスの影響で手指消毒やマスクが当たり前になってきました。細菌やウイルスに注意する場面は医療現場にもあり、状況によって必要な清潔度は異なります。例えば手術は感染すると、傷の治りが悪くない、敗血症と呼ばれる全身に細菌が広がる病気になることもあります。そのため手術は手術室という清潔な空間で滅菌(無菌の)手袋やガウンなど厳重な感染防御で臨みます。一方採血は手袋はしても滅菌されたものではありません。このように医療現場では状況に応じて必要な清潔度を決め、医療を実施しています。
さて、無痛分娩で入院した場合、最も清潔にしなければならない場面の一つには硬膜外カテーテルを挿入するときが挙げられます。採血の場合はアルコール消毒のみですが、硬膜外カテーテルを挿入する際は手術室など清潔な空間で行い、術者は手術で使うものと同じ滅菌手袋を使用します。マスク、帽子もつけますのでさながら手術と同じような状態です。これほどまでして気を付けなければならないのは、硬膜外膿瘍、髄膜炎などの感染症です。出産後の幸せな時間を過ごしていただくためにも、予防がとても重要になります。
そのため消毒もアルコール含有イソジンを背中~腰の広範囲に行います。
背中の消毒は冷たいですし、広範囲の消毒で緊張は高まってしまいますが、これも感染を予防するためですのでご協力のほどよろしくお願いいたします。

硬膜外カテーテルは入れ替えることもあります

2020年11月23日

当陳で行う無痛分娩は硬膜外無痛分娩というもので、背中から細い管を入れて、痛み止めをいつでも入れられるようにしておきます。。『せっかく入れた硬膜外カテーテルを入れ替えないといけないの?』と思われる方もいらっしゃいますが、十分に効果が望めない場合には入れ替えを提案させていただくことがあります。実際に行うことは1割以下なので、ほとんどの方は最初に入れたカテーテルでそのまま出産まで管理できます。
しかし時に十分に痛み止めが効いていない場合や、今後痛みが出てきそうな場合は入れ替えを行うことで痛みをゼロにコントロールして出産することが可能になります。
入れ替える原因は様々ですが、カテーテルが抜けてしまうなど、カテーテルの位置が正しくないことがほとんどと考えられます。
過去に、『硬膜外カテーテルの不成功は23%』という報告1)もあり、一定の割合で不成功となることがあります。また同報告で『熟練者ほど不成功率は低下する』とも述べられています。当院は硬膜外無痛分娩率9割以上と高く、日頃から硬膜外カテーテル挿入になれている医者が行っているので、不成功率は報告よりもずっとずっと低いものです。
  
1)Thangamuthu, et al. IJOA 2013

麻酔科医ってなんですか?(その1)

2020年11月09日

当院には常勤非常勤含めて3人の麻酔科医がいます。
最近ではドラマ(医龍、ドクターXなど)や本(麻酔科医ハナなど)の影響で麻酔科医という名前が浸透してきましたが、麻酔科医とはどのような仕事なのでしょうか?東京マザーズクリニックでは無痛分娩や帝王切開の麻酔を管理しますが、麻酔科医の仕事のほんの一部に過ぎません。他にどのような仕事をしているのでしょうか?
 
麻酔科医としてまず学ぶことは手術麻酔です。癌の手術など全身麻酔を必要とする場合、必ず麻酔科医が必要となります。麻酔科医は国家資格(麻酔科標榜医)であり、全身麻酔ができるのはこの資格を有しているものに限られるためです。手術麻酔の中にもサブスペシャリティとして、心臓麻酔、小児麻酔、産科麻酔があります。
その他にペインクリニック、集中治療、緩和医療、救急などかなり様々な分野に麻酔科医がいます。
麻酔科医は手術麻酔を学んでおりますので、人工呼吸、気管挿管をはじめ心肺蘇生や昇圧剤などに習熟している科です。普段の皆様の生活では風邪をひいたら内科や小児科、けがをしたら外科のように麻酔科医と関わることはなく、無痛分娩や帝王切開で初めて麻酔科医を知る方もいらっしゃるでしょう。
当クリニックの助産師、看護師は無痛分娩や帝王切開のための麻酔管理の教育を麻酔科医が十分に行って、日々精進しております。安心してお任せ下さい。
また機会を見て麻酔科医についてはご紹介させていただきます。

効きやすい神経、効きにくい神経

2020年11月02日

前回『麻酔が効いているかはどうやって調べる?』で神経にはいろいろ種類があることを触れました。繰り返しになりますが以下が麻酔の効きやすさの違いです。

触覚>運動神経>温度覚=痛覚>自律神経
効きにくい効きやすい

一番左側(最も麻酔が効きにくい)にあるのが触覚です。どんなに強い薬を入れても触覚を取ることはできないので、無痛分娩中も触れている感覚は残りますし、帝王切開のように強い薬を入れても触っている感覚だけは感じます。
一番右側(最も麻酔が効きやすい)にあるのが自律神経です。痛みを取ろうとすると、その範囲の自律神経も遮断されます。自律神経は血圧などの調整を行っているため、無痛分娩の副作用に血圧低下があります。血圧低下が起こらないように、十分に点滴などで水分を補うことで予防できます。
自律神経に次いで効きやすい神経が痛覚であり、同じく効きやすい温度覚を参考に無痛分娩中の麻酔範囲を確認します。
運動神経は痛覚よりも効きづらい神経ですので、完全には遮断されませんが、少しだけ効きますので、脚の動かしづらさがでてきます。そのため無痛分娩中は歩行はできません。
これらの神経の特性を理解して無痛分娩を行っております。

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