初診のご予約はこちら  初診ネット予約  TEL:03-3426-1131
(胎児ドックのご予約はお電話にて承ります)

院長と麻酔科医の無痛分娩あれこれ

硬膜外無痛分娩の注射は痛い?

2020年12月14日

『お産は無痛分娩で痛くないから怖くないけど、背中の麻酔が怖い』
『入院して一番注射が緊張する』
これらのような意見は少なくないと思います。実際に硬膜外鎮痛のための管を入れる処置の際にお話を知っていると多くの方がこの背中の麻酔に関して不安、恐怖感、緊張感を持たれていますし、血圧や心拍数の上昇もあります。
この硬膜外鎮痛の処置は注射をしますので、『痛みゼロ』とは言えませんが慣れている医師が行いますので、それほどつらい経験となることはないと思います。
実際に終わった後に話を聞いてみると
『思ったほど痛くなかった』
『もう終わったんですか?』
と言ってくださる方もかなりいらっしゃいます。
『予想と同じくらい痛かった』と思う方よりも『予想より痛くなかった』とおっしゃる方のほうが多く感じます。気を使っていってくださっているのかもしれませんが、幸い『予想よりも痛かった』という感想は今のところないと思います。
あとは針を刺す痛み以外に、カテーテル(細い管)を入れるときに、強い違和感が出ることがあり、その違和感が嫌だったということは聞いたことがあります。硬膜外腔という狭い空間に管を入れる際に神経へ圧迫症状で出るのですが、症状はその時だけで、処置が終わればなくなります。
出産だけでなく、無痛分娩のための処置も痛くないように日々考えながら行って参りますので、あまり緊張なさらずにいらっしゃってください。

硬膜外カテーテル挿入の際の姿勢

2020年12月07日

マザークラスなどで指導があると思いますが、硬膜外カテーテル挿入の際は丸くなる姿勢をとってもらいます。体育座りするように膝をかかえ背中を丸くします。お腹に赤ちゃんがいるので可能な限りで構いません。
背中を丸めるには理由がいくつかあります。
一つ目は丸めることで一つ一つの背骨の間隔が広がり穿刺が容易になるためです。
2つ目に丸まることで脊髄神経はお腹のほうに移動するため、万が一の神経損傷のリスクを減らすことができます。
3つ目に丸まるほうが痛みが少ないです。丸まると背中の皮膚が延ばされます。皮膚が伸びれば針で刺す厚みが小さくなるため、皮膚に広がる細かい痛覚神経への刺激も少なくなると予想されます。
安全のためにも、早く終わらせるためにも丸まる姿勢は重要になります。
身体に力が入ると背中の筋肉がこわばり、背骨も触れづらいので、なるべくリラックスしていましょう。消毒と準備に5分ほど、注射をしてから管を入れ終わるまでに5分ほどかかります。実際に注射で痛い時間は10秒ほどです。
カテーテル挿入で痛みを感じる最も大きな要因は不安かもしれません。不安は痛みを助長します。不安が強ければ優しく触れただけでびっくりしますし、押しただけで痛みを感じます。なるべく不安を取り除けるようにお話をしながらやっていきましょう。

硬膜外カテーテル挿入にはしっかりと感染防御を行います

2020年11月30日

昨今新型コロナウイルスの影響で手指消毒やマスクが当たり前になってきました。細菌やウイルスに注意する場面は医療現場にもあり、状況によって必要な清潔度は異なります。例えば手術は感染すると、傷の治りが悪くない、敗血症と呼ばれる全身に細菌が広がる病気になることもあります。そのため手術は手術室という清潔な空間で滅菌(無菌の)手袋やガウンなど厳重な感染防御で臨みます。一方採血は手袋はしても滅菌されたものではありません。このように医療現場では状況に応じて必要な清潔度を決め、医療を実施しています。
さて、無痛分娩で入院した場合、最も清潔にしなければならない場面の一つには硬膜外カテーテルを挿入するときが挙げられます。採血の場合はアルコール消毒のみですが、硬膜外カテーテルを挿入する際は手術室など清潔な空間で行い、術者は手術で使うものと同じ滅菌手袋を使用します。マスク、帽子もつけますのでさながら手術と同じような状態です。これほどまでして気を付けなければならないのは、硬膜外膿瘍、髄膜炎などの感染症です。出産後の幸せな時間を過ごしていただくためにも、予防がとても重要になります。
そのため消毒もアルコール含有イソジンを背中~腰の広範囲に行います。
背中の消毒は冷たいですし、広範囲の消毒で緊張は高まってしまいますが、これも感染を予防するためですのでご協力のほどよろしくお願いいたします。

硬膜外カテーテルは入れ替えることもあります

2020年11月23日

当陳で行う無痛分娩は硬膜外無痛分娩というもので、背中から細い管を入れて、痛み止めをいつでも入れられるようにしておきます。。『せっかく入れた硬膜外カテーテルを入れ替えないといけないの?』と思われる方もいらっしゃいますが、十分に効果が望めない場合には入れ替えを提案させていただくことがあります。実際に行うことは1割以下なので、ほとんどの方は最初に入れたカテーテルでそのまま出産まで管理できます。
しかし時に十分に痛み止めが効いていない場合や、今後痛みが出てきそうな場合は入れ替えを行うことで痛みをゼロにコントロールして出産することが可能になります。
入れ替える原因は様々ですが、カテーテルが抜けてしまうなど、カテーテルの位置が正しくないことがほとんどと考えられます。
過去に、『硬膜外カテーテルの不成功は23%』という報告1)もあり、一定の割合で不成功となることがあります。また同報告で『熟練者ほど不成功率は低下する』とも述べられています。当院は硬膜外無痛分娩率9割以上と高く、日頃から硬膜外カテーテル挿入になれている医者が行っているので、不成功率は報告よりもずっとずっと低いものです。
  
1)Thangamuthu, et al. IJOA 2013

無痛分娩中に測定すること

2020年11月16日

今回は無痛分娩の場合に行うモニターについてご紹介します。これらのことは無痛分娩を希望しない場合も測定することはあります。
 
①血圧
血圧が下がっていないかどうかを定期的に確認します。硬膜外鎮痛を行うと、痛みも取り除きますが、血管拡張により血圧低下が起こることがあります。血圧が低下した場合は輸液を増やしたり、昇圧剤を使用し直ちに血圧を正常化します。
②経皮的酸素飽和度・パルスオキシメータ
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、これは指につける装置で、リアルタイムに血液中に含まれる酸素の量を測定することができます。昔は皮膚の色を見て判断したり、正確な客観的な測定には採血以外にはなく、連続的な測定などはできませんでした。この装置の登場によりリアルタイムに、正確に、非侵襲的に測定することができ、全身麻酔が格段に安全にできるようになりました。
最近では新型コロナウイルスの影響で一般の方でも聞いたことがあるかもしれません。
この経皮的酸素飽和度を測定するパルスオキシメータの原理は日本光電の青柳卓夫先生が発明しました。同じ日本人として大変誇らしいことですね。
全脊椎麻酔や広範囲の麻酔など呼吸抑制が起こると低下します。
③心電図
心臓の動きを電気信号で読み取り波形にします。不整脈や心臓の筋肉の酸素が不足していないかなど多くの情報が非侵襲的(痛みがなく)に連続的に得られます。局所麻酔中毒などで不整脈が出ないか、早期発見します。
④胎児心拍モニター
赤ちゃんの心音と、子宮の収縮をモニタリングします。このモニターで赤ちゃんが苦しくないかどうかを見ています。
⑤体温
無痛分娩を行うと体温が上昇することがあります。そのため、定期的に体温を測定し、発熱がある場合には補水やクーリングなどで熱が上がりすぎないようにします。無痛分娩に伴う発熱の原因は新型コロナなど感染症とは異なります。
 
これらのモニターの情報は非侵襲的(痛みがなく)で簡便でかつ情報量が多いため測定します。JALA(無痛分娩関係学会団体連絡協議会)でも使用が推奨されており、より安全な出産になるように心がけております。

 初診ネット予約  (胎児ドックのご予約はお電話にて承ります)

TEL:03-3426-1131

FAX:03-3426-1170

〒158-0098 東京都世田谷区上用賀4-5-1
東急田園都市線用賀駅よりタクシー 約5分、徒歩約13分